バツイチ

バツイチについて

バツイチとは、男女を問わず一度離婚を経験した人を指す日本特有の俗称です。1992年に明石家さんまと大竹しのぶが離婚した際、さんまが記者会見で「×」マークを使用したことがきっかけで、この言葉が広まりました。この期間に『現代用語の基礎知識』1993年版に若者用語として掲載されたことから、一般に浸透しました。

起源と語源

バツイチの語源には、戸籍における大きなバツ（×）印が関与しています。一般的な婚姻においては、離婚すると除籍となるのは妻の方であり、夫にはバツがつきません。つまり、離婚した妻は親の戸籍に復籍するか、新たに戸籍を編成するため、戸籍上の状態を考慮すると妻はバツが2つになることもあります。このような複雑な背景から、バツイチという言葉が形成されたと言えます。

社会的背景と変化

1990年代から、結婚情報サービスが普及し、一度の結婚に失敗した人に対するネガティブな印象を減少させることを目指して、さまざまな楽しい表現が考案されました。この背景には、トレンディドラマの影響もあり、多くの人々にとって身近な存在となりました。1980年代後半からこの表現が使われ始め、1991年から新聞などでも見かけるようになりました。

言い換えやイメージ改革

一時期、女性のバツイチに対して「ピカイチ」というポジティブなイメージの呼び名が提唱され、離婚をキャリアアップの一環と捉える考え方もありました。しかし、この運動は長続きせず、バツをマルに置き換えた「マルイチ」や「シングルアゲイン」といった別の表現も登場しました。数年おきにイメージの払拭を図る試みが行われていますが、最近では「バツイチは勲章」として扱われることも増えてきました。

離婚歴の表記と子持ちの場合

2回以上の離婚経験者は「バツ2」や「バツ3」と称され、カタカナ表記が一般的なバツイチとは異なります。また、離婚歴のある子持ちを「バツイチ・子持ち」や「バツイチ・コブ付き」と呼ぶことがしばしばあります。これは、離婚経験者に対して理解を深めようとする表現とも言えます。特に現代では、家庭環境の多様化を反映した表現が必要とされています。

戸籍の電算化

近年では、全国の役所が戸籍簿の電算化を進めており、この変化により死亡や離婚歴が「×」印ではなく「除籍」と記載されるようになりました。このような技術の進歩は、従来の形式的な表現からの脱却を促進していると考えられます。

比喩としての使用

最近では、コンビ解散の経験がある芸人も「バツイチ」と呼ばれることが増えており、芸人界隈で「バツ2」や「バツ3」と表現されることも珍しくありません。たとえば、ウーマンラッシュアワーの村本大輔は、10回のコンビ解散を経て「バツ10」とされることがあります。これにより、バツイチが必ずしも離婚に限定されない広がりを見せています。

バツイチの概念は、文化や社会の変化を映し出すものでもあり、これからもさまざまな形で用いられていくことでしょう。

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