バニシングレーサー

1991年 7月26日にジャレコから発売されたゲームボーイ用アクションゲーム。かつて大切にされていたものの、持ち主の死により廃車となってしまった一台の軽自動車が、奇跡の復活を遂げ、広大なアメリカ大陸を舞台に悪と戦う物語が描かれます。

ストーリー

主人公は、かつてはおじいさんに深く愛情を注がれていた一台の360cc軽自動車「サブロッくん」。しかし、おじいさんが亡くなったことで、彼はあっけなく廃車扱いされ、街外れのゴミ捨て場に打ち捨てられてしまいます。スクラップとして瓦礫の中に埋もれながら、「もう一度自由に走りたい」という切実な願いを流れ星に託します。その時、流れ星が彼のそばに落ち、一台の女神が現れました。女神は魔法でサブロッくんに新たな生命を吹き込むとともに、アメリカ各地で傍若無人に振る舞う悪い車たちを退治する使命を与えます。こうして、サブロッくんのアメリカの平和を守るための壮大な旅が始まるのです。

ゲーム内容

プレイヤーは、女神から使命を受けたサブロッくんを操作し、悪の暴走車を倒しながらアメリカ大陸を西から東へと横断する、横スクロール形式のアクションゲームです。基本的な進行は、敵キャラクターをジャンプからの踏みつけで撃破しながら進んでいきますが、ステージによっては空を駆け巡ったり、水中深くを進むといった変化に富んだシチュエーションも用意されています。

操作はシンプルで、十字キーの左右で移動、Aボタンでジャンプ、Bボタンでダッシュを行います。ダッシュは、移動方向（前方）に十字キーを入れながらBボタンを押すことで、短距離を素早く移動できるアクションで、地上だけでなく空中でも使用可能です。ただし、サブロッくんは後方を向くことができず、左方向への十字キー入力はそのまま後退となり、後方へのダッシュも行うことはできません。

ゲームプレイのスコアが一定量に達すると残機が1つ増えるほか、敵を連続で4体踏みつけて倒すことでも1UPします。また、各ステージには制限時間を示すタイム表示がありますが、時間がゼロになっても即ミスになることはありません。時間を多く残してステージをクリアすると、タイムボーナスとしてスコアが加算されます。敵やステージ上のトゲに触れる、画面下の穴に落ちる、地形に挟まれるなどでミスとなり、残機が全てなくなるとゲームオーバーです。ゲームオーバー後もコンティニューは無制限に行うことができ、ゲームオーバーとなったステージの最初のエリアから再挑戦できます。

アイテム

ステージ中には隠された部屋が存在することがあり、そこでプレイヤーを助ける様々なアイテムを入手できます。

ワンナップ: サブロッくんの残機が1つ増えます。
ウイング: サブロッくんに翼が生え、Aボタンを連打することで一定時間空を自由に飛び回ることができます。
スーパーチャージャー: 一定時間、サブロッくんが無敵状態になり、敵に体当たりするだけで倒せるようになります。

ステージ

本作は全5ステージで構成されており、それぞれのステージはさらに3つのエリアに分かれています。奇数ステージの最終エリアには、そのステージのボスが待ち構えています。

ステージ1 - サンフランシスコ: 高層ビルが立ち並ぶ市街地から始まり、空を飛んでサクラメント川を渡り、シェラネバダ山脈のトンネルを進みます。
ステージ2 - ラスベガス: カジノの街が舞台。スロットマシーンのような敵が登場したり、遊園地の入り口から内部へと進み、樽を投げるゴリラ風の看板が行く手を阻みます。
ステージ3 - デンバー: 広大な牧場地帯と洞窟が舞台。UFOの目撃談が多い土地柄を反映してか、UFOに似た敵も出現します。
ステージ4 - デトロイト: ミシガン湖の水上や湖底を進む水中エリア、そして自動車工場の内部が舞台。動く浮島や水位変動、プレス機などの仕掛けが登場します。
ステージ5 - ニューヨーク: 夜景を背景にした摩天楼、ニューヨークの地下鉄、そして敵の総本山である巨大なボス基地が舞台。地下鉄では巨大な列車が突進してきたり、最後のボス基地は強制スクロールエリアとなっています。

スタッフ

本作の開発には、企画担当の滝下尚史氏、グラフィック担当の面谷知志氏、作曲担当の鈴木康行氏、そしてプログラム担当の猪ヶ倉康雄氏、DAN SUMMI CLUB、G-132といった方々が携わりました。

評価

当時のゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは、40点満点中26点という評価を得ています。

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