ババ・スミス

チャールズ・アーロン・"ババ"・スミス：フィールドを制圧し、スクリーンを魅了した男

チャールズ・アーロン・"ババ"・スミス（Charles Aaron "Bubba" Smith、1945年2月28日 - 2011年8月3日）は、アメリカンフットボール選手として、その強烈なプレースタイルで多くのファンを魅了し、引退後は俳優として幅広い活躍を見せた人物です。テキサス州ボーモントで生まれ、201cmの恵まれた体格を活かして、ディフェンスの選手として名を馳せました。

プロ入りまでの道のり

ミシガン州立大学では、アメフトチームの中心選手として活躍。その実力は高く評価され、オールアメリカンに2度選出されるほどでした。特に、1966年のノートルダム大学との試合は、10-10の引き分けに終わったものの、相手QBのテリー・ハンラティをノックアウトするほどの活躍を見せ、彼の名を一躍有名にしました。彼の功績は、1988年にカレッジフットボール殿堂入りという形で讃えられ、2006年9月23日には、彼の背番号95がミシガン州立大学の永久欠番となりました。

NFLでの輝かしいキャリア

1967年のNFLドラフトでは、ボルチモア・コルツ（現：インディアナポリス・コルツ）から全体1位指名を受け、プロの道へ進みました。2年目の1968年には、チームはレギュラーシーズンを13勝1敗という圧倒的な成績で終え、NFLチャンピオンシップゲームを制覇。しかし、第3回スーパーボウルでは、ニューヨーク・ジェッツのQB、ジョー・ネイマスが試合前の挑発的な発言をしたことに対し、スミスは不快感を示しました。結果として、コルツは7-16で敗北を喫し、苦い経験となりました。

1970年、NFLとAFLの統合が行われ、コルツはAFCへと移籍。そのシーズンの第5回スーパーボウルでは、ダラス・カウボーイズを16-13で破り、見事優勝を果たしました。しかし、ターンオーバーが多かったこの試合内容に満足できなかったスミスは、スーパーボウルリングを公の場につけることはありませんでした。コルツ時代には、オールプロに1回、オール・カンファレンスに2回、プロボウルに2回選出されるなど、輝かしい実績を残しました。

1973年にはオークランド・レイダースへトレード。1974年のプレーオフでは、スーパーボウル3連覇を目指すマイアミ・ドルフィンズとの対戦で、ガロ・イェプレミアンのトライフォーポイントをブロックするという活躍を見せました。

1975年にはヒューストン・オイラーズ（現：テネシー・タイタンズ）へトレードされましたが、ひざの故障に苦しみ、1976年に現役を引退。最後の試合では、12タックル、2サックを記録し、トライフォーポイントとFGを1回ずつ阻止するなど、最後まで全力を尽くしました。

俳優としての新たな挑戦

引退後は俳優として新たなキャリアをスタートさせました。1984年公開のコメディー映画『ポリスアカデミー』では、巨漢で威圧的な外見とは裏腹に、穏やかな声で話す愛嬌のある警官候補生、モーゼス・ハイタワー役を好演し、第1作から第6作まで出演。その他、テレビ映画『チャーリーズ・エンジェル』『ブルーサンダー』『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』や、アクションコメディ映画『ストローカーエース』など、数多くの作品に出演しました。

突然の死

2011年8月3日、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外の自宅で、介護士によって亡くなっているのが発見されました。彼の死は、多くのファンや関係者に深い悲しみをもたらしました。

家族

弟のトディ・スミスもアメリカンフットボール選手として活躍。USCでプレーした後、ダラス・カウボーイズ、ヒューストン・オイラーズ、バッファロー・ビルズでプレーしました。兄弟揃ってプロのアメリカンフットボール選手として活躍したことは、特筆に値します。

ババ・スミスは、アメリカンフットボール選手として、そして俳優として、多くの人々に愛され、記憶される人物です。彼の残した功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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