バビットメタル

バビットメタル：歴史と用途

バビットメタルは、1839年にアイザック・バビットによって発明された、すべり軸受に最適な合金です。ホワイトメタルとも呼ばれますが、この名称はスズ基の低融点合金全般を指す場合もあるため、注意が必要です。

バビットメタルの特性

バビットメタルは、一見相反する特性を両立させています。すべり軸受には、軸との良好ななじみ、焼付きの防止、高い耐摩耗性、そして耐疲労性が求められます。軟らかい金属はなじみが良い反面、耐摩耗性に劣り、硬い金属は耐摩耗性に優れるものの、なじみが悪くなりがちです。

バビットメタルは、低融点のスズや鉛を母材とし、銅やアンチモンなどの硬質金属を微細な粒子として分散させることで、これらの相反する特性を高いレベルで両立させています。この優れた特性により、高い面圧がかかる用途においても、ころ軸受に頼らず、すべり軸受のみで十分な性能を発揮できるようになりました。

バビットメタルの組成

バビットメタルには様々な組成が存在しますが、代表的なものとして以下のものがあります。

90%スズ - 10%銅
89%スズ - 7%アンチモン - 4%銅 (減摩合金とも呼ばれる)
* 80%鉛 - 15%アンチモン - 5%スズ

これらの組成比は、用途や求められる特性によって調整されます。

現在の用途

バビットメタルは基本的に低荷重用途の合金であるため、現代ではエンジンなどの高負荷な用途には直接使用されることは少なくなりました。代わりに、エンジンすべり軸受の表面に0.1mm以下の薄膜として使用され、軸とのなじみ性を向上させる役割を担っています。

その低融点と成型性の良さから、模型素材としても広く利用されています。ミリタリー、鉄道模型、キャラクター物など、様々なジャンルのメタルフィギュアやメタルキットに用いられ、スズの兵隊や鉛の兵隊などもバビットメタルで作られています。

また、エレベーターの主索の末端部を固定する用途にも使用されます。

ただし、環境への配慮から、鉛の使用は制限されつつあり、鉛を含まない合金への移行が進んでいます。

まとめ

バビットメタルは、その優れた特性から、発明以来長年にわたって機械部品として重要な役割を担ってきました。現在では、用途は変化しつつありますが、模型素材など、様々な分野でその特性が活かされています。今後も、環境に配慮した材料開発が進み、バビットメタルの進化が期待されます。

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