バブコック・アンド・ウィルコックス

バブコック・アンド・ウィルコックス（Babcock & Wilcox Company, B&W）は、アメリカを代表する総合エンジニアリング企業であり、重機械メーカーとしてもその名を知られています。1867年、スティーブン・ウィルコックスとジョージ・H・バブコックによってロードアイランド州で設立され、「Babcock & Wilcox Non-Explosive Boiler」という名称でその歴史をスタートさせました。

創業当初から、高圧タービンを駆動させるための蒸気ボイラー製造を事業の中核としており、この分野で長年にわたり技術を培ってきました。その卓越した技術力は、船舶用ボイラーの製造にも活かされ、第二次世界大戦中にはアメリカ海軍艦船の約半数がB&W製の蒸気ボイラーを搭載していたという事実が、その信頼性の高さを物語っています。

戦後、B&Wは原子力産業へと進出し、加圧水型原子炉を中心に、商用原子炉や艦船用原子炉の製造に携わるようになりました。特に、スリーマイル島原子力発電所2号機は、炉心溶融事故で世界的に知られていますが、この発電所もB&Wが設計・製造したものです。この事実は、同社の技術力が原子力分野でもトップクラスであったことを示しています。

現在、B&Wは商用大型ボイラーの製造とメンテナンスを主要な事業として展開しており、その技術力は今も世界中で高く評価されています。原子力プラントの製造からは一時撤退していましたが、近年では、125,000～750,000kWのモジュラー式原子炉の開発にも取り組んでおり、再び原子力分野での存在感を高めようとしています。

日本においては、「バブコック日立」という名称で、主に大型ボイラーメーカーとして知られています。しかし、現在、資本は全て日立製作所に引き渡されており、バブコック・アンド・ウィルコックスとしての直接的な関係は薄れています。それでもなお、その技術は日本の産業界に深く根付いており、かつての技術提携が、日本のボイラー技術発展に大きく貢献したことは間違いありません。

バブコック・アンド・ウィルコックスは、150年以上の歴史を持つ老舗企業であり、その間、ボイラー技術、原子力技術の両分野で、革新的な製品を開発し、産業界の発展に貢献してきました。今後も、その高い技術力を活かし、エネルギー分野における新たな挑戦を続けていくことが期待されます。モジュラー式原子炉の開発は、その象徴的な取り組みと言えるでしょう。これからも世界のエネルギー産業を支える重要な役割を担っていくでしょう。

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