バブルと寝た女たち

『バブルと寝た女たち』（バブルとねたおんなたち）は、作家・家田荘子によるエッセイ集、およびそれを原作として制作された日本映画である。日本のバブル経済期という特殊な時代背景の下、その波に乗り、あるいは巻き込まれながらも、力強く生きた女性たちの生態を描き出し、世間の注目を集めた。

書籍版

本書は、日本のバブル経済がもたらした好景気の恩恵を受け、経済的に潤っていた男性たちから多額の富が流れ込んできた、ごく普通の女性たちに焦点を当てたエッセイ集である。著者は、社会の裏側や特定の集団に深く切り込むルポルタージュで知られる家田荘子氏。

本作はもともと、講談社発行の雑誌『週刊現代』に1993年7月3日号から同年8月14日号にかけて連載された記事に、大幅な加筆・修正を施したものである。その後、単行本として1994年2月24日に講談社より刊行され、広く読まれることとなった。さらに、1997年6月12日には同社より文庫版も出版され、より多くの読者に手に取られる機会を得た。

映画版

このエッセイ集を原作とした同名映画は、1998年3月14日に公開された。監督は新村良二が務めた。物語の舞台は1990年代の東京であり、崩壊しつつあったバブル期の狂騒の中で、自らの肉体をも含めた「武器」を駆使し、したたかに生活を送った女性たちの姿が描かれている。

原作の反響を受け、映画版も話題となり、その後複数の続編が制作されるシリーズとなった。主な続編は以下の通りである。

『新・バブルと寝た女たち』（1998年公開、監督：服部光則、主演：小松みゆき）
『続・バブルと寝た女たち』（1999年公開、監督：谷口正行、主演：甲賀瑞穂）
『ITバブルと寝た女たち』（2007年公開、監督：佐藤太、主演：三津谷葉子） - 時代設定がITバブル期に移されている。

主要キャスト

梶井みどり：立河宜子
須賀崇之：升毅
関谷歩美：かとうあつき
大森七郎：中尾彬
水島真知子：小野みゆき
須賀美紀子：速水典子
梶井まゆみ：天田貴子
小野日出男：小倉一郎
小沢：円谷浩
梶井春美：服部妙子

スタッフ

監督：新村良二
脚本：山上梨香
助監督：桜田繁
原作：家田荘子
製作：円谷粲
プロデューサー：米山紳、関根房江、前島真理奈
撮影：三好和宏
美術：大橋雅俊
音楽：安藤賢次
録音：辻井一郎
編集：境誠一

本作は、崩壊に向かっていたバブル経済の終焉期に発表されたことで、当時の社会現象や人々の価値観の変化を映し出す鏡として機能した。特に、経済的な豊かさが一時的に転がり込んできたことで、それまでの規範から外れた生き方を選んだ女性たちの姿は、賛否両論を巻き起こしつつも、多くの読者や観客に強い印象を与えた。映画版がシリーズ化されたことは、このテーマに対する社会的な関心の高さを示していると言えるだろう。

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