バラの刺青

バラの刺青（映画）

『バラの刺青』（原題：The Rose Tattoo）は、1955年にアメリカ合衆国で製作・公開されたドラマ映画である。著名な劇作家テネシー・ウィリアムズが1951年に発表した同名戯曲を基に、ウィリアムズ自身とハル・カンターが共同で脚本を改作した作品であり、ダニエル・マンが監督を務めた。

物語は、メキシコ湾岸に暮らす南イタリア系移民のコミュニティを舞台に、情熱的で信仰心の厚い女性セラフィナの波乱に満ちた人生を描く。夫を亡くしたセラフィナが、亡き夫の秘密を知り、新たな愛を見つけるまでの過程が綴られる。

この戯曲の初演には、元々イタリア人女優アンナ・マニャーニが主役を務めることがウィリアムズによって構想されていた。しかし、1951年当時のマニャーニは英語での演技にまだ不慣れだったため、ブロードウェイでの出演を見送ったという経緯がある。その後、映画化の企画が持ち上がった1955年頃には、彼女の英語力は向上しており、念願叶って主役のセラフィナ役に配役された。

主要なキャストは以下の通りである。

アンナ・マニャーニ：セラフィナ（Serafina Delle Rose）
バート・ランカスター：アルヴァロ（Alvaro Mangiacavallo）
マリサ・パヴァン：ローザ（Rosa Delle Rose）
ベン・クーパー（Ben Cooper）：マリネイロ・ジャック・ハンター（Marinheiro Jack Hunter）
ヴァージニア・グレイ（Virginia Grey）：エステル・ホーヘンガーテン（Estelle Hohengarten）
ジョー・ヴァン・フリート（Jo Van Fleet）：ベッシー（Bessie）
サンドロ・ジリオ（Sandro Giglio）：デ・レオ神父（Father De Leo）
ミミ・アグーリア（Mimi Aguglia）：アスンタ（Assunta）
* フローレンス・サンドストロム（Florence Sundstrom）：フローラ（Flora）

映画は、その演技と芸術性が高く評価され、アカデミー賞において複数の栄誉に輝いた。アンナ・マニャーニは、セラフィナ役の熱演が絶賛され、主演女優賞を受賞した。また、美術部門においてはモノクロ作品賞、撮影部門においてもモノクロ作品賞を受賞している。

さらに、主要部門でもノミネートを獲得しており、作品賞の候補となったほか、マリサ・パヴァンが助演女優賞にノミネートされるなど、合計で5部門にノミネートされた。これらの受賞・ノミネートは、この作品が単なる戯曲の映像化にとどまらず、映画としても質の高い達成を遂げたことを示している。

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