バート・ランカスター

バート・ランカスターの生涯とキャリア

バート・ランカスター（Burt Lancaster、1913年11月2日 - 1994年10月20日）は、アメリカの映画界で広く知られる俳優および製作者である。彼はニューヨークに生まれ、本名はバートン・ステファン・ランカスター。ファミリーにおいても五人兄弟の四男として育ち、彼の父親は郵便局員だったが、収入は非常に限られていたため、若い頃から新聞を配ったり靴磨きをしたりと、家計を助けるために働かざるを得なかった。

幼少の頃から、読書や映画に対する興味が強く、特にルドルフ・ヴァレンティノやダグラス・フェアバンクスの作品に心を奪われていた。高校では体育部に所属し、バスケットボールの選手として活躍。奨学金を得てニューヨーク大学に進学したが、退屈な授業から中退し、友人とともにアクロバットのチームを結成、サーカスで活動を始める。

1942年、第二次世界大戦の影響を受けてアメリカ陸軍に入隊し、軍の慰問団で活動。戦後はニューヨークに戻り、1945年にブロードウェイデビューを果たした。彼の初舞台は短期間で終わったものの、その後の映画界では7本の作品から出演依頼を受け、すぐにスターの仲間入りを果たした。

俳優としてのキャリアが本格化する中で、彼はフィルム・ノワールの領域で特に目を引く存在となり、1948年には独立プロダクションを設立。以降、アクション映画や娯楽作を多数見出し、ワーナー・ブラザースと契約しながら、さまざまなヒット作を手がけていく。1953年には映画『地上より永遠に』でアカデミー賞に初ノミネートされ、デボラ・カーとの名シーンは映画史に残る瞬間となった。

その後も、『マーティ』や『成功の甘き香り』などで新しいスタイルの映画製作を試み、批評家に高く評価される。1950年代を通じて、俳優兼製作者としての地位を確立し、カーク・ダグラスと共演した『OK牧場の決闘』でも知られるようになる。1960年には『エルマー・ガントリー/魅せられた男』でアカデミー主演男優賞を受賞し、彼の名は今やハリウッドの重要な一角に位置していた。

1960年代にはヨーロッパ映画にも積極的に出演し、ルキノ・ヴィスコンティやベルナルド・ベルトルッチといった著名な監督とのコラボレーションが評価された。特にヴィスコンティによる『山猫』では、彼の演技力が一層際立つ。この時期は様々なジャンルに挑戦し、特にアメリカン・ニューシネマの潮流の中で新しい評価を受ける。

1980年代に入ると彼の活動はテレビへとシフトしつつあったが、それでも数多くの作品に出演し続けた。また、プライバシーに対する強い思いを持ち、社会的な問題にも関与し、自らの意見を表明するなど、俳優としての枠を超えた活動を展開していた。

彼の晩年には健康上の問題が影響し、活動は制限されたものの、それでも彼の存在感やキャリアに対する姿勢は揺るがなかった。1991年に放送されたテレビ映画『裁かれた壁～アメリカ・平等への闘い』が遺作となり、1994年に心臓麻痺で他界した。バート・ランカスターは、その多岐にわたる演技力と製作活動を通じて、映画界に不朽の名声を残していった。彼の妻との間には5人の子供があり、映画界での活躍を継承する子供たちが多いことでも知られている。

バート・ランカスターの影響力と業績は、彼が生きた時代を超えて続いており、多くの人々にインスピレーションを与え続けている。

もう一度検索