バラキ (映画)

映画『バラキ』の概要と制作経緯

『バラキ』（原題: The Valachi Papers）は、1972年に公開されたイタリア、フランス、アメリカの合作映画であり、監督はテレンス・ヤング、主演はチャールズ・ブロンソンが務めました。この映画は、ジョゼフ・ヴァラキの実際の証言を基に描かれたマフィアに関する作品であり、彼は現役のマフィア構成員でありながら、オメルタという血の掟を破り、アメリカ議会の捕獲聴聞会で自身の経験を証言しました。この証言を通じて、マフィアやコーサ・ノストラの実態を掘り下げた内容は、観客にリアルなマフィアの歴史を伝えています。

ジョゼフ・ヴァラキの証言を基にしたストーリー

映画『バラキ』は、オメルタからの逃れ、コーサ・ノストラ入会の過程、組織内での出世、そして当局に保護されるまでの道のりを描いています。実際のマフィアのリーダーたち、ラッキー・ルチアーノなどの実名が登場することで、物語はより現実味を帯びています。ヴァラキの証言は、当時のマフィアの厳しい現実を明らかにし、一般市民には知られていない裏の世界を詳細に描写しています。

映画化の背景

『マフィア/恐怖の犯罪シンジケート』という書籍がアメリカで1968年に出版され、大ヒットを記録しました。この人気を受け、映画化権を取得したテレンス・ヤングは、多くの映画会社に企画を持ちかけたものの、内容の凄まじさから講じた反応は及び腰でした。しかし、ディノ・デ・ラウレンティスがこの企画に乗り出したものの、当時存命だったヴァラキやヴィト・ジェノヴェーゼの存在が制作上の障害となり、慎重になる必要がありました。

特に、ジェノヴェーゼは獄中にいながらも強力な権力を持っており、制作チームはその動きに注意を払いながら、タイミングを見計らうことが求められました。1969年にジェノヴェーゼ、1971年にヴァラキが相次いで死亡した後、ようやく制作が許可され、1972年3月にはニューヨークでの撮影が開始されました。しかし、撮影中にマフィアからの脅迫があり、わずか18日でニューヨークを後にし、ローマに移動して撮影を続けました。

スタッフとキャスト

映画の制作スタッフには、監督のテレンス・ヤング、製作を担当したディノ・デ・ラウレンティス、脚本家のスティーヴン・ゲラー、マッシモ・デ・リータ、アルドゥイーノ・マイウリが名を連ねています。また、原作となった書籍の著者はピーター・マーズで、映画はそのベストセラーに基づいています。音楽はリズ・オルトラーニが担当し、撮影はアルド・トンティが行いました。

まとめ

『バラキ』は、単なるエンターテインメント作品を超え、実在のマフィア組織の内側に迫る貴重な資料としても評価されています。ジョゼフ・ヴァラキが残した証言を通じて、多くの人々が知らなかったマフィアの実情を知ることができるこの映画は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

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