バラクリヤの戦い

バラクリヤの戦い：2022年ウクライナ東部反攻の幕開け

2022年9月6日、ハルキウ州イジューム地区のバラクリヤで始まった戦闘は、ロシアのウクライナ侵攻におけるウクライナ軍の東部反攻の口火を切るものでした。この戦いは、その後のウクライナ軍の快進撃を決定づける重要な転換点となりました。

戦闘の背景

2022年ロシアのウクライナ侵攻初期、ロシア軍はハルキウ州東部を制圧し、クプヤンシク、シェウチェンコヴェ、バラクリヤなどの主要都市を占領しました。バラクリヤ自体は、ほとんど抵抗を受けることなく3月3日に占領されました。その後、ハルキウ州における戦闘は、ハルキウ市とイジューム市に集中しました。

4月上旬には、ロシア軍がイジュームを制圧しましたが、ウクライナ軍は5月上旬までにハルキウの防衛に成功しました。その後、両軍はセベロドネツクとリシチャンシク、そしてドンバス地域に注力したため、戦線は膠着状態に陥りました。

7月から8月にかけて、ウクライナとロシア両メディアは、南部ヘルソン州でのウクライナの反攻について報道しました。この反攻は8月29日に開始されましたが、ウクライナ軍は大きな損害を被り、ロシア軍の頑強な抵抗に苦戦しました。

このような状況の中、9月6日にウクライナ軍はハルキウ州東部で奇襲的な反攻を開始し、最初の戦闘がバラクリヤで繰り広げられることになったのです。

戦闘の経過

9月6日、ウクライナ軍はバラクリヤ周辺に集結後、攻撃を開始しました。初日には、バラクリヤ北西郊外のヴェルビウカを解放しました。バラクリヤに駐留していたロシア軍は、バービフカからのウクライナ軍の進撃を遅らせるために橋を爆破しましたが、ウクライナ軍は街を包囲せずに迂回しました。

一部のウクライナ軍はバラクリヤ近郊に残り、市の中心部でロシア軍と戦闘を行いましたが、他の部隊はヴォロヒフ・ヤールに向けて北上しました。

9月7日には、バラクリヤは包囲され、市の東部と中心部で戦闘が継続しました。そして翌9月8日、ウクライナ軍はバラクリヤ全域を解放し、戦闘は終結しました。

戦闘の影響

バラクリヤの解放は、ウクライナ軍にとって大きな勝利であり、その後の東部反攻を勢いづけることになりました。9月9日にはクプヤンシク、9月10日にはイジューム、そして9月12日にはヴェリキ・ブルルクとヴォフチャンスクが解放されました。

また、9月14日にはバラクリヤ警察署の地下から、民間人40人を収容していた拷問部屋が発見され、ロシア軍による残虐行為の証拠として国際社会に衝撃を与えました。

まとめ

バラクリヤの戦いは、2022年ロシアのウクライナ侵攻における重要な転換点であり、ウクライナ軍の東部反攻の幕開けを告げるものでした。この戦いを経て、ウクライナ軍は勢いを増し、周辺地域の奪還を加速させました。また、この戦闘は、戦争における人道上の悲劇を改めて浮き彫りにし、国際社会に大きな影響を与えました。


関連項目

* 2022年ウクライナの東部反攻

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