バラデーロ

バラデーロは、キューバ北部のマタンサス州に位置するリゾート地で、イカコス半島全体がそのエリアとなっています。この半島は、細長く、北西側はフロリダ海峡に面し、南東側はカルデナス湾に面しています。約20kmに及ぶ白砂のビーチが広がり、美しい海岸線が特徴的です。

地理

イカコス半島は、キューバ本島から北東に伸びる砂嘴で、最先端のイカコス岬はキューバ島最北端です。半島の付け根付近にはカワマ運河が流れ、本島とは隔てられています。この運河には可動橋が架けられており、幅40m、水深4.5m、全長5.1kmです。半島北東部には原生林や海岸があり、一部はイカコス岬自然保護区に指定されています。保護区内には、アンブロシオ洞窟やマンゴン湖、ラ・カラベーラ遺跡などがあります。

歴史

バラデーロ周辺は、先史時代から人が居住しており、洞窟絵画が残されています。16世紀にはスペイン人が来訪し、牧畜や木材伐採、製塩を行いました。イカコス半島の港は、船の修理場(varadero)として利用され、これが地名の由来となりました。16世紀末には、重要な岩塩鉱山が開発され、19世紀には村や町の建設が試みられました。1887年に正式な町として建設されて以降、裕福層のリゾート地として発展を遂げます。1930年代から1950年代には、アメリカ人実業家やギャングを含む多くの著名人が訪れました。

1959年のキューバ革命後、富裕層の邸宅は没収され、美術館やギャラリーとして活用されました。観光地としての性格を強め、1960年代から1980年代にかけて、多くのイベントが開催されました。1976年に単独の自治体となりますが、2010年にはカルデナス自治体に統合されました。

観光

バラデーロは、キューバ最大の観光地であり、年間100万人以上の観光客が訪れます。カナダやヨーロッパ、ラテンアメリカからの観光客が中心ですが、アメリカからの観光客も増加傾向にあります。多数のホテルやリゾートが立ち並び、多くは海外企業と共同で運営されています。美しいビーチの他に、洞窟や岩礁など、自然を楽しめるスポットもあります。また、スクーバダイビングや深海釣りなどのウォータースポーツも盛んです。近隣には、マタンサスやカルデナスといった歴史的な町や、サパタ半島などの自然豊かな地域もあります。

交通

バラデーロへのアクセスには、近郊にあるフアン・グアルベルト・ゴメス空港が利用されます。この空港は、キューバで2番目に利用者の多い空港であり、国内外の主要都市と結ばれています。国内からは、バスやレンタカーでアクセス可能で、鉄道も利用できますが、速度が遅いため観光客には不向きです。バラデーロ内では、タクシーやココタクシー、馬車、バスなどが利用できます。また、レンタサイクルやモペッドでの移動も可能です。

人口

かつてバラデーロは自治体として存在しましたが、2011年にカルデナスに統合され、現在ではリゾート地としてのエリアを指す言葉として使われています。リゾート地で働く人の多くは、近隣のカルデナスから通勤しています。

出身者

バラデーロ出身の著名人としては、サッカー選手のホセ・ミランダや水泳選手のレオネル・スミスが挙げられます。

姉妹都市

バラデーロは、メキシコのカンクン、ウルグアイのプンタ・デル・エステ、イギリスのドリフィールドと姉妹都市関係にあります。

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