バラド

バラド（国民民主集団）

バラドは、イスラエルに存在するアラブ系政党で、その正式名称は「国民民主集団」です。1995年に元イスラエル共産党の活動家、アズミー・ビシャーラの主導により設立され、アラビア語では「タジャンモウ」と呼ばれています。。

バラドの理念の中心には、アラブ系イスラエル人の権利を向上させることがあり、これまで数回のクネセト（イスラエル国会）選挙に参加してきました。1996年の選挙では、ビシャーラが当選を果たし、その後も政党として影響力を持ちながら活動を続けています。特に、バラドはガザ地区、ヨルダン川西岸、東エルサレムでのパレスチナ国家の設立を支持し、パレスチナ難民の帰還を訴えるなど、パレスチナ問題にも深く関与しています。

一方で、この政党は「反シオニズム」と捉えられることもあり、その立ち位置からユダヤ系イスラエル人との対立も避けられない状況にあります。特に極右政党「イスラエル我が家」の党首アヴィグドール・リーベルマンは、バラドの議員に対して「テロ組織の代理人だ」との発言をし、議論が白熱することもしばしばです。

また、バラドの議員たちは、ユダヤ系議員からの野次が飛ぶ中でしばしば口論に発展し、議事進行に支障をきたすこともあります。2007年には、ビシャーラがヒズブッラーへの情報提供疑惑により議員辞職を余儀なくされ、政党としての信頼性が問われる事態に陥りました。さらに、2010年には、バラドのハニーン・ゾービ議員がイスラエル国防軍に拿捕されたガザへの人道支援船に搭乗していることが明らかになり、国内外で大きな議論を生む結果となりました。この事件に関連して、ゾービへの非難が強まり、彼女は議員特権および市民権の剥奪の危機に直面しました。

2013年時点で、クネセトのメンバーとして知られる主要な議員には、メタンズ・シャハド、ヘバ・ヤズバク、サミ・アブ・シェハデの3人がいます。これらの議員は、アラブ系イスラエル人の声を代表する存在として活動しており、党の方向性を掲げながら様々な政治活動を行っています。

バラドの今後の活動や選挙での結果が、アラブ系市民の政治的地位や権利向上にどのような影響を与えるのか、注視が必要です。彼らの活動は、パレスチナ問題における複雑な状況の中で、より重要な役割を果たすと期待されています。

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