東エルサレム

東エルサレム：歴史と現状

東エルサレムは、現代のエルサレム東部に位置する地区であり、1949年以前のエルサレム市域の約20%を占めていました。ユダヤ教、イスラム教、キリスト教にとって重要な聖地である旧市街を含んでおり、その歴史的、宗教的な重要性から国際的な関心を集めています。現在の東エルサレムは、1967年の第三次中東戦争後に周辺の28の自治体を編入したため、1949年以前の範囲とは異なっています。

歴史的背景

東エルサレムの成立は、1949年の第一次中東戦争の休戦協定に端を発します。この協定により、エルサレムはイスラエルとヨルダンによって分割統治されることになりました。イスラエルは西エルサレムを含む地域を、ヨルダンは旧市街を含む東エルサレムとヨルダン川西岸地域を統治しました。

しかし、1967年の第三次中東戦争でイスラエルがヨルダン川西岸地区を占領した際、東エルサレムもイスラエルの支配下に入りました。イスラエルはその後、東エルサレムを周辺の28の自治体とともに西エルサレムに編入しましたが、この併合は国際的には承認されていません。現在に至るまで、東エルサレムの地位は国際社会において大きな論点となっています。

イスラエルによる占領とパレスチナ人の現状

イスラエルによる占領後、東エルサレムのアラブ人（パレスチナ人）住民は「居住権」を有する外国人として扱われるようになりました。しかし、イスラエルはエルサレムにおける非ユダヤ人人口を戦略的に抑制する政策を推進しており、建設許可の制限や「居住権」の剥奪による住民の追放が行われています。これらの政策は、国際社会からは民族浄化政策であると批判されています。

シオニストの中には、イスラエルが占領した日を「エルサレムの日」として祝う者もおり、この地域における緊張は常に高い状態にあります。

ヨルダンは1994年にイスラエルとの平和条約で東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区の領有を放棄しましたが、パレスチナ自治政府は東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置づけています。

2008年には、イスラエルとパレスチナ自治政府の間で秘密交渉が行われ、パレスチナ側が一部入植地の譲渡を含む大幅な譲歩案を示したものの、合意には至りませんでした。2023年には、東エルサレムのシナゴーグで銃撃事件が発生し、多くの死傷者が出るなど、不安定な状況が続いています。

ユダヤ人入植地の問題

21世紀に入ってから、ユダヤ人入植者団体は、パレスチナ人住民の土地買収を強行し、立ち退きを求める訴訟を起こすなど、住民との対立が激化しています。これらの団体の主張は、1948年以前のユダヤ人の財産を取り戻すというイスラエルの法律を根拠としていますが、国際社会からは批判されています。訴訟の結果、多くのパレスチナ人住民が家を追われ、立ち退きの危機に瀕しており、国連もこの状況を憂慮しています。

東エルサレムは、ヨルダン川西岸地区の一部として歴史的には扱われてきましたが、その政治的・文化的・人道的な重要性から、他のパレスチナ領域とは別個に扱われることが多いです。例えば、オスロ合意では、東エルサレムは特別な問題として扱われています。また、イスラエルは東エルサレムを自国に併合しているため、ヨルダン川西岸地区の一部とは考えていません。

社会と文化

東エルサレムには主にパレスチナ人が居住しており、アラブ・バスなどの交通機関が利用されています。また、ユダヤ教の祝日であるヨム・キプールにおいても、東エルサレムでは通常の日常生活が営まれています。

人口

東エルサレムの人口は増加傾向にあり、以下のように推移しています。

1997年：210,209人
2007年：225,416人
2014年：255,700人
2017年：281,163人

主要な観光スポット

東エルサレムには、多くの重要な観光スポットがあります。

嘆きの壁
聖墳墓教会
岩のドーム
アル＝アクサー・モスク
ダビデの町
エルサレムの旧市街とその城壁群（世界文化遺産）

これらの場所は、歴史的、宗教的に非常に重要な場所であり、世界中から多くの観光客が訪れます。

東エルサレムは、歴史、政治、文化が複雑に絡み合う地域であり、その将来は国際社会の大きな関心事となっています。

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