バリオカム

ポルシェの可変バルブ機構：バリオカムとバリオカム・プラス

ポルシェのエンジンに搭載されている可変バルブ機構「バリオカム (VarioCam)」と「バリオカム・プラス (VarioCam Plus)」は、エンジン性能の最適化に重要な役割を果たしています。これらのシステムは、バルブの開閉タイミングや持続時間を制御することで、様々な運転状況において最適なエンジン特性を実現します。

バリオカム：バルブタイミングの最適化

バリオカムは、カムシャフトの位相を変えることでバルブタイミングを可変制御するシステムです。この技術の基本特許は当初、ロータスが保有していましたが、後にシェフラーが取得し、ポルシェとの共同開発を経て市販車に搭載されるようになりました。1991年発売のポルシェ968で初めて採用され、その後のポルシェ車におけるエンジン技術の進化に大きく貢献しました。バリオカムは、低回転域ではトルクを重視し、高回転域では高出力を発揮するような、状況に応じた最適なバルブタイミングを実現します。

バリオカム・プラス：バルブリフト量も制御

バリオカム・プラスは、バリオカムのバルブタイミング制御機能に加え、可変バルブリフトシステムを統合した高度な可変バルブ機構です。カムシャフトの位相変化に加えて、バルブの持ち上げ量（リフト量）も2段階で切り替えることで、より精緻なエンジン制御を可能にしています。

このシステムの大きな特徴は、カム切り替え機構がタペットに組み込まれている点です。ホンダのVTECなどに見られるロッカーアームを介したシステムとは異なり、直打式の動弁機構を維持したまま可変リフトを実現しています。この設計により、システム全体の複雑さを抑えつつ、高い信頼性と効率性を確保することに成功しています。スバルのダイレクト可変バルブリフト機構も、同様の設計思想に基づいて開発されています。

バリオカム・プラスは、1999年発売のポルシェ911（996型）ターボに初搭載されました。このシステムによって、911ターボは、低回転域での力強いトルクと、高回転域での伸びやかな高出力を両立し、ドライバーにスリリングな走りをもたらします。

まとめ：ポルシェエンジン技術の進化

バリオカムとバリオカム・プラスは、ポルシェが長年に渡って培ってきたエンジン技術の粋を集めた可変バルブ機構です。これらのシステムは、単にエンジン性能を向上させるだけでなく、燃費効率の改善にも貢献しています。ポルシェが追求する高い走行性能と効率性を両立させる上で、重要な役割を果たしていると言えるでしょう。 これらの技術は、ポルシェ車のドライビング体験を大きく左右する要素であり、今後もポルシェ車の進化に貢献していくものと考えられます。 技術の基本特許はロータスにあり、シェフラーとの共同開発を経てポルシェによって完成されたこれらのシステムは、自動車技術史においても重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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