バリスタ (電子部品)

バリスタとは

バリスタ（varistor）は、特別な性質を持つ電子部品で、主に高電圧から他の電子部品を保護する役割を果たします。バリスタは2つの電極から成り立っており、両端にかかる電圧が低い間は高い抵抗を示しますが、一定以上の電圧がかかると急激に抵抗が低下するという特性があります。この特性は、バリスタが「可変抵抗」という名前に由来しています。バリスタの抵抗は、電圧に対して非線形的に変化します。この変化を数式で表すと、流れる電流 I は電圧 V のα乗に比例し、通常の抵抗がα=1であるのに対し、バリスタではαが1より大きくなります。このαの値は非直線性係数と呼ばれ、バリスタの特性を理解する上で重要です。

バリスタの定格値

バリスタにはいくつかの定格値があります。その中の一つがバリスタ電圧で、これはバリスタが正常に動作するための電圧の目安です。基準となる電流が1mAのときにバリスタにかかる電圧を定義します。このように、バリスタの特性を知ることで、適切な選定が重要です。

さらに、バリスタにはサージ耐量とエネルギー耐量という概念があります。サージ耐量は、バリスタが耐えられる最大サージ電流を示し、エネルギー耐量はそのときのパルスによって持つエネルギーの量です。これらの定格を超える場合、バリスタは破損する可能性があり、製品や回路の寿命に影響を与えるため注意が必要です。

バリスタの構造と材料

バリスタは、非線形抵抗特性を持つ半導体セラミックスを2枚の電極で挟む構造をしています。セラミックコンデンサと似た構造であり、セラミックコンデンサの誘電体の部分を半導体セラミックスに置き換えたものと言えるでしょう。形状にはディスク型と積層チップ型があり、これらは用途に応じて選ばれます。

主な材料

バリスタの素材として最も一般的なものは酸化亜鉛です。この酸化亜鉛にいくつかの添加物を加えることで、非線形性係数とエネルギー耐量が向上します。具体的な添加物にはビスマスやプラセオジムが含まれ、これらは非線形抵抗特性を生み出すために不可欠であり、さらなる特性向上のためにコバルトやマンガンなども用いられます。

他にもチタン酸ストロンチウムは誘電率が高く、コンデンサとしての機能も持つバリスタに使われることがあります。また、炭化珪素は高電圧用バリスタとして利用されていますが、現在では特定の条件下での使用が中心となっています。

バリスタの利用例

バリスタは、高電圧から電子部品を守るためのバイパス器具として、多くの用途で用いられています。具体的には、以下のような状況で活用されます。

• - 落雷サージからの保護: 落雷による突発的な電圧上昇から機器を守ります。
• - 静電気放電（ESD）対策: 特にデジタル集積回路では静電気による破壊が起こりやすく、バリスタが効果を発揮します。
• - 整流子の火花抑制: モーター内部の火花を防止するために利用され、ブラシの寿命を延ばします。
• - 開閉器の接点保護: 電源オフ時の高圧を吸収し、リレーの接点を保護します。

バリスタは、その特性と耐久性から、様々な電子機器において重要な役割を果たしていることが理解できます。

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