バルセロナ包囲戦 (1705年)

第一次バルセロナ包囲戦：スペイン継承戦争における戦略的要衝の攻防

第一次バルセロナ包囲戦は、1705年、スペイン継承戦争の重要な局面において、イングランド、オランダ、オーストリア、ポルトガルからなる連合軍が、カタルーニャの中心都市バルセロナを攻略した戦いです。この勝利によって、連合軍はカタルーニャとバレンシア地方を支配下に置き、イベリア半島における戦略的優位性を確立しました。

包囲戦の経緯

1705年6月20日、イングランド艦隊はポルトガルのリスボンに到着し、オランダ艦隊と合流しました。連合艦隊は7月24日にリスボンを出港し、8月22日にはバルセロナの海上を封鎖、カール大公率いる兵を上陸させました。当初、両軍は膠着状態にありましたが、9月13日、イングランド軍司令官のピーターバラ伯チャールズ・モードントが、バルセロナ南方に位置するムンジュイック砦への攻撃を開始しました。

ムンジュイック砦の攻略

ムンジュイック砦は、バルセロナの防衛において重要な役割を果たす要塞でした。連合軍は激しい攻撃を仕掛けましたが、砦の守備兵の抵抗も強く、一時は押し返される場面もありました。この戦闘で、オーストリアの将軍ゲオルク・フォン・ヘッセン＝ダルムシュタットが戦死するという痛ましい出来事も起こりました。しかし、連合軍は砲撃を続け、9月17日についに砦を占領することに成功しました。

バルセロナ市民の蜂起と都市の陥落

ムンジュイック砦の陥落は、バルセロナ市内に大きな衝撃を与えました。市民は暴動を起こし、町は大混乱に陥りました。ピーターバラ伯は直ちにバルセロナに侵入し、暴動を鎮圧、都市を連合軍の支配下に置きました。こうして、バルセロナは連合軍の拠点となり、フェリペ5世に対する抵抗の拠点となったのです。

包囲戦の意義

第一次バルセロナ包囲戦は、スペイン継承戦争において、連合軍がイベリア半島における足掛かりを築いた重要な戦いでした。バルセロナを拠点に、連合軍はマドリードを目指し、フェリペ5世に対抗していくことになります。この戦いの勝利は、その後のスペイン継承戦争の行方を大きく左右することになりました。

参考文献

* 友清理士『スペイン継承戦争 マールバラ公戦記とイギリス・ハノーヴァー朝誕生史』彩流社、2007年。

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