バルタザール・ノイマン

バルタザール・ノイマン：バロック・ロココ建築の巨匠

ヨハン・バルタザール・ノイマン（1687年 - 1753年）は、バロック・ロココ建築の時代において、最も重要な建築家の一人として知られています。彼は、南ドイツ、特にフランケン地方を中心に活躍し、その建築様式は、ドイツ・カトリックのバロック建築の頂点を築き上げました。

生涯

ノイマンは、1711年にヴュルツブルクの砲兵部隊に所属していましたが、司教ヨハン・フィリップ・フランツ・フォン・シェーンボルンの支援を受け、イタリア、フランケン地方、オランダなどで建築家としての才能を開花させていきました。彼は、既存の建築様式に捉われず、大胆な空間構成と光の演出を駆使し、独自の建築美を追求しました。

ノイマンの才能は、特に階段室や礼拝堂といった巨大なインテリアの創作において発揮されました。彼は、空間全体を彫刻のように扱い、光と影、色彩を巧みに組み合わせることで、見る者を圧倒するような壮麗な空間を作り上げました。

また、ノイマンは、自身で室内装飾を行うのではなく、専門的な芸術家を集め、彼らをマネジメントすることで、建築全体の調和を生み出すという手法を取りました。ヴュルツブルクの司教宮殿（レジデンツ）では、国際的な芸術家を集め、ヴュルツブルク・ロココの最高傑作を作り上げました。この宮殿は、ヴェルサイユ宮殿をモデルに、イタリア＝フランス・バロック様式で建設され、その中でも特に有名な階段室は、ノイマンの才能を象徴する空間となっています。

1753年、ノイマンは砲兵隊大佐としてヴュルツブルクで生涯を閉じました。

主な作品

ノイマンは、当時としては異例なほど多忙な建築家であり、数多くの質の高い作品を残しました。以下に、彼の代表的な作品をいくつか紹介します。

ブルッフザールの城（階段室、1731年頃）
ヴュルツブルク大聖堂のシェーンボルン礼拝堂（1718年から1736年）
ゲスヴァインシュタインの聖三位一体巡礼教会（1730年から1739年）
ヴュルツブルクのレジデンツ（1720年から1744年）
ヴェルネックの城館（1733年から1745年）
ブリュールのアウグストゥスブルク城（階段室、1740年 – 1746年）
ボンのクロイツベルク教会（1746年から1751年頃）
フィエルツェンハイリゲンの巡礼教会（1743年から1753年）
ネレスハイム修道院の教会（1747年から1792年）
エルヴァンゲンの旧神学校本部
シェーンタール・アン・デア・ヤクストの修道院教会
ミュンスターシュヴァルツァハ修道院
バート・メルゲントハイムのドイツ騎士団教会
トリアーの聖パウリン教会

これらの作品は、ノイマンの卓越した建築技術と芸術的センスを今に伝える貴重な遺産であり、彼の作品がかつて50DM紙幣に印刷されていたことからも、その評価の高さが伺えます。

参考文献

* Walter Hotz: Kleine Kunstgeschichte der deutschen Schlösser. Darmstadt: Wissenschaftliche Buchgesellschaft 1970

バルタザール・ノイマンの建築は、バロック・ロココ時代の精神を体現し、後世の建築家や芸術家に多大な影響を与えました。彼の作品は、今日でも多くの人々を魅了し続けています。

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