バルバロッサ (ボードゲーム)

『バルバロッサ（ドイツ語表記：Barbarossa und die Rätselmeister）』は、ゲームデザイナーのクラウス・トイバー氏によって制作され、1988年に発表されたユニークなユーロゲームです。

このゲームの最大の特徴は、一般的なボードゲームとは一線を画す、粘土を用いた独創的なゲームシステムにあります。プレイヤーはそれぞれ、他のプレイヤーには明かされない秘密のテーマを設定し、そのテーマを表現する粘土作品を2つ（3人でプレイする場合は3つ）制作します。

制作された粘土作品は、他のプレイヤーの前に公開されます。ここからがゲームの推理パートの始まりです。各プレイヤーは順番に、他のプレイヤーが作った作品について質問を行います。質問の内容は自由ですが、作品の正体を絞り込む手がかりとなるような質問を skillfully に投げかけ、その作品が一体何であるかを推測していきます。

そして、自分が作った作品の正体が分かったと思われるプレイヤーは、答えを宣言することができます。宣言が正しければポイントを獲得できます。しかし、このゲームの得点システムには独特のルールがあります。

• - 全員が正解した場合： 作品を作ったプレイヤーは、その作品から得点を得ることができません。
• - 誰も正解できなかった場合： この場合も、作品を作ったプレイヤーは得点できません。

つまり、ゲームの勝敗を分ける鍵は、「一部のプレイヤーには正解が推測できるが、他のプレイヤーには正体が分からない」という、絶妙なバランスを持つ粘土作品を作り出すことにあります。あまりにも分かりやすすぎると全員に当てられてしまい得点できず、かといって抽象的すぎて誰にも伝わらない作品では、これもまた得点にはつながりません。

この「伝わるようで伝わらない」という曖昧な境界線を狙って作品を作る過程と、他のプレイヤーの意図を汲み取りながら質問を重ねて推理を進める過程が、『バルバロッサ』の奥深さと面白さを生み出しています。

『バルバロッサ』は、その革新的なゲーム性から高い評価を受け、1988年にはゴールデン・ペッペル賞を、そして発表から10年後の1998年には、ボードゲーム界で最も権威ある賞の一つであるドイツ年間ゲーム大賞（Spiel des Jahres）を受賞しています。

粘土という素材を使ったアートワークと、心理的な駆け引きを伴う推理要素が見事に融合した『バルバロッサ』は、単なるゲームとしてだけでなく、コミュニケーションツールとしても楽しめる作品と言えるでしょう。手先の器用さだけでなく、テーマ設定のセンスや、他者の思考を読み解く力が試される、ユニークなプレイ体験を提供します。長年にわたり愛され続けるユーロゲームの名作の一つです。

もう一度検索