バルブ・アカリー

バルブ・アカリー：信仰と慈善に生きたフランスの福者

バルブ・アカリー（Barbe Avrillot Acarie, 1566年2月1日 - 1618年4月18日）は、フランスの貴族の家に生まれ、後にカトリック教会のカルメル会修道女となった福者です。彼女の生涯は、信仰への目覚め、慈善活動への献身、そしてフランスへの跣足カルメル会導入への貢献によって彩られています。

生い立ちと結婚

法服貴族アヴリヨ家の娘としてパリに生まれたバルブは、10代の頃から修道生活に憧れを抱いていました。しかし、両親の反対により、同じ貴族の男性ピエール・アカリーと結婚します。ピエールとの間には6人の子供を儲け、その中には後に司祭や修道女となる者もいました。社交界ではその美貌から「美貌のアカリー」と称され、華やかな生活を送っていましたが、次第に世俗的な価値観に疑問を抱くようになります。

信仰への目覚めと慈善活動

夫の勧めで信仰に関する書物を読んだバルブは、信仰に目覚め、生活を一変させます。慈善活動を始め、キリスト教を中心としたサロンを開き、フランシスコ・サレジオやヴァンサン・ド・ポールなど、多くの著名人が集いました。しかし、その中には、後に彼女と対立することになるピエール・ベリュールもいました。

跣足カルメル会との出会いと導入

バルブのサロンの常連の一人、ジャン・ド・カンタナドワーヌ・ブレティニーが、フランス語訳されたアビラのテレサの著書を紹介したことが、彼女と跣足カルメル会との出会いでした。テレサに感銘を受けたバルブは、跣足カルメル会をフランスに導入することを決意します。しかし、当時の履足カルメル会は、スペイン以外での創立に消極的でした。

バルブは諦めず、友人の聖職者の協力を得てフランス導入計画を推し進めます。ベリュールが使者としてスペインに赴き、テレサから指導を受けた修道女6人を選出し、フランスに帰国。その中には、スペイン王女イサベル・クララ・エウヘニアの友人であるイエスのアンナや、聖バルトロマイのアンナもいました。バルブは初めて跣足カルメル会修道女に出会い、友人となります。そして、彼女の努力が実を結び、フランス初の跣足カルメル会修道院がパリに創立されたのです。

ベリュールとの対立と勝利

しかし、ベリュールが修道会を自分の傘下に治めようと企んでいることに気づいたバルブは、テレサの精神を守るため、彼と対決し、勝利します。その後、修道院はフランス各地に創立されていくようになりました。

修道女として

1613年、夫ピエールが病気で死去。バルブは自身が導入した跣足カルメル会に入る決心をし、1614年4月に入会、「御託身のマリア（Marie de l'Incarnation）」と名乗ります。晩年は神秘体験を受けながらも慎ましい修道生活を送り、修道院長に選出されたことがありましたが、辞退しています。1618年4月18日、肺炎によりポントワーズで死去。アカリー修道女の聖性が教会に認められ、1791年に列福されました。

バルブ・アカリーは、信仰と慈善に生きた女性として、また、フランスにおけるカルメル会発展の礎を築いた人物として、今もなお多くの人々に敬愛されています。

出典
* 『カリットへの旅』　トマス・ロアバック著　サンパウロ　2003年

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