福者

福者とは

福者（ふくしゃ）は、ラテン語で「beātus」と言い、カトリック教会において死後にその徳や聖性が認められた人々に与えられる特別な称号です。この称号を受けるプロセスは「列福」と呼ばれ、最終的には聖人として認められる可能性もあります。

列福のプロセス

福者の選考は二つの段階から成ります。第一段階では管区大司教が生前の業績や残した著書を調査します。この時、特に殉教者以外のケースでは、奇跡的なできごとの証言が必要となります。第二段階では、列聖省が再度調査を行い、最終的にはローマ教皇が列福の宣言を行います。この手続きには本人が亡くなってから数十年かかることが一般的ですが、特に生前から高い評価を受けていた人物に関しては、非常に短期間で列福が行われることもあります。例えば、マザー・テレサやヨハネ・パウロ2世がその例です。

信心と典礼

福者に対する信心は、特にその福者と関わりの深い地域の教会において、典礼の中で許可されています。しかし、全ての教会において公に記念する義務はないため、その地域の教会の判断に委ねられています。また、福者はそれぞれの記念日を持ち、通常はその人が亡くなった日を記念日として設定します。

他の宗派における解釈

カトリック教会以外でも「福者」という言葉は使用されますが、その意味は異なります。たとえば、正教会では「至福者」や「至福女」という称号があり、これらは聖人に与えられるもので、カトリックにおける福者とは異なる意味合いを持ちます。正教会では、アウグスティヌスを「福アウグスティン」と呼ぶことがありますが、この「福」は聖人の称号の一部であり、カトリックの福者のような意味合いはありません。また、正教には「列福」や「列聖」といった段階が存在しません。

著名な福者たち

福者には多くの著名な人物が含まれています。以下にいくつかの名前を挙げます：

• - ドゥンス・スコトゥス：哲学者・神学者
• - アンジェリコ
• - ヤコブス・デ・ウォラギネ
• - ペトロ岐部と187殉教者：日本人殉教者
• - 中浦ジュリアン：司祭、日本人殉教者
• - ディオゴ結城：司祭、日本人殉教者
• - ニコラオ永原ケイアン：日本人殉教者
• - カール1世 (オーストリア皇帝)
• - ニコラウス・ステノ
• - アンナ・カタリナ・エンメリック
• - 高山右近：日本人殉教者
• - アルバロ・デル・ポルティーリョ：司教
• - カルロ・アクティス

福者はカトリック教会における重要な存在であり、その教えや行いは信徒の信仰生活に深く根付いています。

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