バルモラル城

バルモラル城の魅力と歴史

バルモラル城（バルモラルじょう）は、スコットランドのアバディーンシャーに位置する美しい城で、周囲には豊かな森や広大な荘園が広がっています。この地域はロイヤル・ディーサイドとして知られ、ディー川沿いに広がる自然の恵みに包まれています。城は、ヴィクトリア女王の王配アルバートによって購入され、以降王室の夏の避暑地として利用されています。バルモラル・エステート全体の面積は65,000エーカー（約260平方キロメートル）に及び、常に約50人のスタッフが働いており、季節によってその数は増減します。

歴史の背後にある物語

バルモラル・エステートは、1390年にサー・ウィリアム・ドラモンドによって家庭として建設され、歴史の中でさまざまな手を経てきました。この地はロバート2世の狩猟ロッジでもあり、後にドラモンド家から第3代ハントリー伯アレグザンダー・ゴードンと手を結び、さらなる変遷を遂げます。その後、1662年にはインヴァリーのファーガソン氏族に売却され、1792年には第2代ファイフ伯へと渡ります。1822年には、即位したばかりのジョージ4世がこの城を訪れるなど、王室とのつながりが強まっていきました。

ロイヤル・レジデンスとしての現在

今日、バルモラル城はイギリス王室の離宮として重要な役割を果たしています。夏季には王室一家がこの地を訪れ、エリザベス2世と彼女の夫フィリップ公も毎年夏をここで過ごしました。1848年以降、この地は王室の住居として使用され、女王ヴィクトリアと王配アルバートによって特別な場所としての地位を確立しました。アルバートは、建築家ウィリアム・スミスと共にこの歴史ある城を拡張し、1856年には現在の壮麗な姿が完成しました。

私的な邸宅としての位置付け

バルモラルは公的なロイヤル・エステートではなく、王室の私的な不動産として位置付けられています。そのため、エドワード8世が1936年に退位した際、彼の私的財産を相続することなく、即位したジョージ6世がこれらの資産を明確に購入する必要がありました。この背景により、バルモラル城は王室の私的な避難所としての性格を持ち続けています。冷戦の時代には、核関係の威嚇の中で王室の避難所として名が挙がることもあったほどです。

現代の出来事

エリザベス2世は、1997年にバルモラルに滞在中、ダイアナ元王太子妃の悲劇的な死の知らせを受けました。その際の行動が国民やメディアから大きな批判に晒され、映画『クィーン』（2006年）でも取り上げられるなど、後の世代にまで影響を及ぼしました。また、2022年の夏、エリザベス2世はバルモラルに滞在中に保守党党首の交替の際の首相任命式を行いました。これには特別な意味があり、通常であればバッキンガム宮殿で行われるところを、女王の高齢を考慮しバルモラルで行われました。更に同年9月8日、エリザベス2世がこの地で崩御したことは歴史に記される出来事となりました。

バルモラル城は、その美しい自然環境と歴史的背景から、多くの人々に愛される特別な場所であり続けています。

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