バレンタイン・ストラッサー

バレンタイン・ストラッサー：若き革命家から失脚、そして晩年

バレンタイン・エセグラグボー・メルヴィン・ストラッサー（Valentine Esegragbo Melvine Strasser）は、1967年4月26日生まれ。シエラレオネの軍人、政治家であり、かつて国家最高評議会議長を務めました。

クーデターによる政権掌握

1992年、シエラレオネは内戦の渦中にありました。当時大尉だったストラッサーは、給料未払いに不満を持つ若い兵士たちと共にクーデターを敢行。ジョセフ・サイドゥ・モモ大統領を打倒し、政権を奪取しました。当時26歳という若さで国家元首に就任し、世界最年少の国家指導者として注目を集めました。この時、国家暫定統治評議会（NPRC）を設立しています。

モモ政権は内戦を軽視し、形だけの選挙で済ませようとしていました。国民も混乱を避けるため、それを黙認していました。しかし、若い将校たちは現状に不満を募らせ、クーデターを決行。混乱からの立て直しを期待した国民は、若きストラッサーを歓迎しました。

民政移管の遅れと内戦の激化

しかし、国民の期待も長くは続きませんでした。ストラッサーは早期の民政移管を約束していましたが、なかなか実現しませんでした。その上、アハメド・フォディ・サンコー率いる反政府勢力、革命統一戦線（RUF）がゲリラ戦術に転換し、戦況は悪化の一途をたどります。RUFは首都フリータウンに迫る勢いとなり、国内は更なる混乱に陥りました。1993年、ストラッサーはRUFに対し一方的に休戦を宣言し、兵士に大赦を与えました。

1992年から1993年の間、ストラッサーは治安の悪化を権力強化に利用。1995年には民間軍事会社エグゼクティブ・アウトカムズと契約を結び、一時的に戦況を好転させることに成功します。しかし、1996年1月、政権内部でジュリウス・マーダ・ビオ准将によるクーデターが発生し、ストラッサーは失脚。イギリスへ亡命することになりました。

失脚後の生活

イギリスに亡命後、ウォーリック大学で法学を学びますが、1998年に中退。その後は職を転々としますが、シエラレオネ人学生の抗議で解雇されたり、元交際相手の自動車を傷つけたとして逮捕されたりと、不遇な生活を送ります。

その後、ガンビアへの入国を拒否され、最終的にシエラレオネへ帰国。フリータウン郊外のグラフトンで母親と貧困生活を送りながら、ICT研究所で若者たちにコンピュータースキルを教えていました。

アムネスティ・インターナショナルは、ストラッサー政権下で殺人と拷問が行われていたとして、ストラッサーを裁判にかけるよう主張しています。

晩年

2019年1月に重病を患い、治療のためガーナの病院へ搬送されました。その後、シエラレオネに帰国することなく、現在に至ります。

若き革命家として登場し、その後失脚、そして晩年は貧困の中で過ごしたバレンタイン・ストラッサー。彼の波乱万丈な人生は、シエラレオネの激動の歴史を象徴していると言えるでしょう。

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