バロンの末裔

ミュージカル・ロマン『バロンの末裔』

『バロンの末裔』は、宝塚歌劇団によって上演された魅力的なミュージカル・ロマンです。本作品は、スコットランドを舞台に、破産の危機に瀕した貴族とその周囲の人々の複雑な人間模様を描いています。作・演出には正塚晴彦が手がけており、1996年から1997年の間に月組公演、さらに2021年には宙組の全国ツアー公演として再演され、高い評価を得ました。

公演データ

• - 初演: 1996年12月20日から1997年2月2日（宝塚大劇場）、および1997年4月4日から4月30日（東京宝塚劇場）。
• - 併演作: 宝塚レビュー『グランド・ベル・フォリー』。これは月組トップスターの久世星佳のサヨナラ公演としても特別な意味を持ちました。
• - 再演: 2021年、宙組による全国ツアーで11月21日から12月9日まで上演され、併演作『アクアヴィーテ!!』も好評でした。

あらすじ

物語は20世紀初頭のスコットランドに舞台を移します。ボールトン男爵家の次男、エドワードは軍人として自立した生活を送っていましたが、兄のローレンスが病に倒れたとの報せが届き、急遽帰郷することになります。家に戻ると、エドワードは兄の借金のために、土地が差し押さえられる危機に直面していることを知らされます。

彼は、銀行家ウィリアムに頼み込んで土地の抵当権を手放さないよう交渉しますが、ウィリアムは自身の狙いを持っており、交渉は決裂してしまいます。この状況にエドワードは落胆し、一旦は家を出ようとしますが、兄の婚約者であり幼なじみのキャサリンの励ましを受け、再び問題解決に向かう決意を固めます。

エドワードはかつてキャサリンに恋をしていましたが、次男という家柄のため愛を告白できずにいました。しかし今、彼は兄とキャサリンのためにこの難題に立ち向かうことを決意します。彼は兄の借金の背後にある疑惑を感じ取り、元軍隊仲間のリチャードに調査を依頼します。二人は協力して事実を突き止めようとしますが、その先には予想だにしない真実が待ち構えていました。

スタッフとキャスト

1996年・1997年の公演では、久世星佳がエドワードとローレンスを演じ、風花舞がキャサリン、真琴つばさがリチャードを務めました。また、ウィリアム役には姿月あさと、ヘンリーには汐風幸が起用されています。本作品では多彩なキャストが出演し、多くの演出家や作曲家も関与しています。

賞賛と退団者

この作品においては、特に1997年2月2日の千秋楽後に退団した久世星佳の華々しい演技が記憶に残ります。また、退団者として山吹紗世や逢原せりかも名を連ねていました。

『バロンの末裔』は、観客に深い感動を与えるストーリーと、洗練された演出、豪華な舞台美術が融合した作品です。人間関係の複雑さ、愛と責任の重さを描くことで、多くの人々の心に響く物語となっています。

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