バンギャループ

『バンギャループ』は、マキボロスが描く日本のSF恋愛漫画です。ウェブコミック配信サイト『GANMA!』にて、2014年2月から2019年6月にかけて隔週で連載されました。単行本はKADOKAWA/メディアファクトリーから刊行されています。2017年には、第3回次にくるマンガ大賞のWebマンガ部門で20位にランクインし、注目を集めました。

あらすじ

物語は、ビジュアル系バンド「squall（スコール）」に熱狂する女子大生、椎名芽衣子の日常から始まります。高校時代に友人の誘いで参加したライブがきっかけでsquallのファンになった芽衣子は、特にボーカルの黒川霧を深く慕っていました。しかし、ある日突然、予定されていたライブの中止が発表され、さらに霧が予期せぬ事故で亡くなったという悲報が届けられます。

失意の中、黒川霧の葬儀に参列した芽衣子でしたが、会場で何者かに大切な腕時計を奪われてしまいます。時計を取り戻そうと必死に追跡する最中、誤って高所から転落してしまうのです。もはやこれまでと死を覚悟したはずの芽衣子でしたが、次に意識を取り戻すと、そこは驚くべき光景でした。

彼女がいたのは、今から5年前。squallがまだインディーズバンドとして活動し、メンバーが共同生活を送っていた時代の自宅だったのです。突如として過去へとタイムスリップしてしまった芽衣子は、目の前にいる生きた黒川霧や若い頃のメンバーたちを前に、未来で起こるはずの悲劇的な事故死を回避することを決意します。未来を変えるため、芽衣子はsquallのインディーズ活動を支え、メンバーたちと深く関わりながら奮闘していくことになります。

登場人物

椎名芽衣子（しいなめいこ）
本作の主人公である、ビジュアル系バンドをこよなく愛する女子大生。特にバンド「squall」のボーカル、黒川霧の熱烈なファン。未来で霧が事故死した悲劇をきっかけに、過去の世界へタイムスリップし、彼の死を阻止しようと奔走します。持ち前の行動力とバンドへの情熱で、過去のsquallメンバーたちと関わっていきます。

黒川霧（くろかわきり）
ビジュアル系バンド「squall」のメインボーカル。未来では突然の事故により若くして命を落とします。過去の世界で芽衣子が出会う彼は、まだメジャーデビュー前の若々しい姿です。ドラマーのローサとその妹・明子とは幼馴染であり、ギターの遥、ベースの奏太とは高校時代からのバンド仲間。母親は既に亡くなっており、父親は再婚しています。彼の存在が物語の核となります。

ローサ
「squall」のドラマー。本名は武雄ですが、性自認は女性であり、メンバーや周囲からはローサと呼ばれています。明子は彼の妹にあたります。バンド内では落ち着いた雰囲気を持つ存在として描かれます。

遥（はるか）
「squall」のリーダーであり、ギタリスト。極度の女好きとして知られ、インディーズ時代のバンド活動資金を稼ぐためにジゴロのような振る舞いをすることも厭いません。リーダーとしてバンドを牽引しようとしますが、その行動は時に波紋を呼びます。

奏太（かなた）
「squall」のベーシスト。ライブステージでは常にフードを深く被り、眼帯をつけ、口元も衣装で隠しているため、その素顔はほとんど見えません。ミステリアスな外見とは裏腹に、実はオタク系の男子というギャップを持っています。

明子（あきこ）
ローサの妹で、黒川霧の過去の恋人。愛称は「めーこ」。芽衣子がタイムスリップした過去の世界で、霧やsquallメンバーと関わる重要な人物の一人です。

* RAVEN
夜琉（ボーカル）、リリィ（ベース）、空（ドラム）、綾斗（リーダー/ギター）からなるバンド。霧が上京するきっかけとなった存在であり、物語にも関わってきます。

作品の魅力

『バンギャループ』は、SF要素であるタイムスリップを主軸に、バンド活動、そして芽衣子とsquallメンバー、特に黒川霧との間に生まれる恋愛模様が巧みに織り交ぜられています。未来の悲劇を変えようとする主人公の奮闘、過去の世界での人間関係の変化、そしてバンドがメジャーを目指して突き進む青春群像劇として描かれており、読者を引きつける魅力を持っています。個性豊かなバンドメンバーたちの描写も見どころの一つです。

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