バンギャル

バンギャルとは

バンギャルとは、ヴィジュアル系バンドを熱心に応援する女性ファンのことを指します。多くは「バンギャ」または「ギャ」と略されます。長年バンギャルを続けている女性は「オバンギャ」、男性ファンは「バンギャル男」や「ギャ男」と呼ばれることもあります。

明確な定義はありませんが、一般的に「ヴィジュアル系バンドのファンであること」が生活や精神面で大きな比重を占めている女性を指します。ただし、音楽評論家の市川哲史氏は、1990年代には「バンギャル」という言葉がロックバンド好きの女性全般を指し、現在のようなヴィジュアル系限定の意味合いではなかったと指摘しています。

バンギャルの歴史

バンギャルのルーツとしては、ナゴム系のファンである「ナゴムギャル」が先祖的な存在として挙げられることがあります。

当初、バンギャルを含むヴィジュアル系ファンはヤンキー的な傾向がありましたが、徐々にオタク的な要素を取り入れていきました。市川哲史氏によれば、1990年代初期のX JAPANのライブ会場では、バンド名やメンバー名、歌詞を背中に刺繍した特攻服や長ランを着たファンが多く、会場外には改造車が並んでいたそうです。このようなヤンキー的なファン層が、1995年頃から徐々にオタク的な層へと変化していったと考えられています。

音楽ライターの藤谷千明氏は、1996年にデビューしたSHAZNAの登場がその象徴であったと述べています。SHAZNAのように自分自身をキャラクター的に表現するスタイルは、現代の2.5次元的なヴィジュアル系にも通じると主張しています。この変化の背景には、YOSHIKI氏が拠点を日本からロサンゼルスに移したことや、1990年代末頃からヤンキーが聴く音楽が多様化したこと、2000年代中頃からEXILEが人気を博したことなどが挙げられています。

市川氏は、バンギャル側の変化に伴い、ヴィジュアル系バンド側もヤンキー的なものからオタク的なものへと変化していったと結論付けています。

ファッション

バンギャルの中には、応援するバンドのメンバーと同じような服を着たり、衣装を手作りしたりする人が多く、コスプレを楽しむ人もいます。ゴシック・アンド・ロリータファッションは、バンギャルの服装が発祥であるとも言われています。

精神性

ヴィジュアル系バンドのファンには「メンヘラ・カルチャー」があると言われています。しかし、市川哲史氏によれば、1990年代のヴィジュアル系ファンはコスプレをしてライブに行き、開演前から円陣を組んで気合いを入れたり、ライブ中は跳ねたりヘドバンしたりして、思い思いにライブを楽しんでおり、メンヘラ的な印象はなかったそうです。一方、藤谷千明氏は、ヴィジュアル系における狂気や病みが変質したのは2000年代ではないかと指摘し、ヴィジュアル系が表現する闇や病みが「ここではないどこか」から「いまここ」になった結果、メンヘラカルチャーが生まれたのではないかと分析しています。

筋肉少女帯の大槻ケンヂ氏は、バンギャルが最も好きなものは「旅」であり、「ここではないどこか」「今ではないいつか」へ行きたいのだと述べています。そして、バンドはそのための口実に過ぎないと指摘しています。

バンギャルは、バンドの見た目だけを重視し、音楽性や批評には興味がないと思われがちですが、市川氏は、ヴィジュアル系に関する記事への反応が良いことから、メディア側の工夫次第でヴィジュアル系批評にも需要があると感じているそうです。

バンギャルを題材とした作品

バンギャルは、小説、漫画、映画など、さまざまな作品の題材となっています。

文学
雨宮処凛『バンギャル ア ゴーゴー』
大槻ケンヂのエッセイ
漫画
蟹めんま『バンギャルちゃんの日常』
竹内佐千子『おっかけ!』
所テン子『the秘密のバンギャルちゃん』
マキボロス『バンギャループ』
映画
絵のない夢
テレビ
はねるのトびら「黒族 追っかけに命賭けてます」
楽曲
人格ラヂオ「バンギャル症候群」
ゴールデンボンバー「†ザ・V系っぽい曲†」

バンギャルであることを公言している有名人

柳原可奈子（お笑い芸人）

バンギャル系ファッション雑誌

* KERA

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