バンクーバー交響楽団

バンクーバー交響楽団（Vancouver Symphony Orchestra）

カナダのブリティッシュ・コロンビア州の主要都市、バンクーバーに本拠を置くオーケストラです。1919年に産声をあげ、長い歴史を刻んでいます。設立後、1921年から1930年までの約10年間、一時的な活動休止期間がありましたが、その後再び演奏活動を再開し、今日の発展へとつながりました。

楽団の歴史における重要な転換点の一つは、1972年に日本人指揮者である秋山和慶が音楽監督に就任した時期です。彼のリーダーシップの下、定期演奏会の会員数が飛躍的に増加し、市民の間での人気を不動のものとしました。さらに、1977年には音響特性が大幅に改善されたオルフェウム劇場に新たな活動拠点として移転。この時期に楽団は大きな飛躍を遂げ、カナダを代表する三大オーケストラの一つとして広く認知されるようになりました。

しかし、順風満帆な歩みばかりではありませんでした。1988年には深刻な財政的な困難に直面し、およそ5ヶ月間にわたり演奏活動を停止せざるを得ない状況に陥りました。この危機を乗り越えるため、1991年に音楽監督に就任したセルジュ・コミッシオーナは組織の改革を断行。これにブリティッシュ・コロンビア州政府からの支援も加わり、楽団は再び活力を取り戻し、再建への道を歩み始めました。

その後、作曲家としても知られるブラムウェル・トーヴェイが音楽監督を務めた時代には、その演奏プログラムが多くの聴衆から高い評価を得ました。伝統的な古典作品から現代の新作まで、古今の作品を巧みに組み合わせたバランスの良いプログラムは、バンクーバー市民に幅広く受け入れられました。

歴代の音楽監督には、楽団の歴史に名を刻む多くの指揮者がいます。

アラード・デ・リーデル（1931年 - 1940年）
ジャック・シンガー（1946年 - 1950年）
アーウィン・ホフマン（1952年 - 1963年）
メレディス・デイヴィス（1964年 - 1970年）
サイモン・ストリートフィールド（1971年 - 1972年）
秋山和慶（1972年 - 1985年） ※1985年より桂冠指揮者
ルドルフ・バルシャイ（1985年 - 1988年）
セルジュ・コミッシオーナ（1991年 - 2000年）
ブラムウェル・トーヴェイ（2000年 - 2018年） ※2018年より2022年まで名誉音楽監督
オットー・タウスク（2018年 - 現在）

2018年からはオットー・タウスクが音楽監督として楽団を率いており、その指揮のもと、バンクーバー交響楽団はカナダの音楽文化の発展に貢献し続けています。幾多の試練を乗り越え、常に進化を続けるその活動は、多くの音楽ファンに感動を与えています。

なお、アメリカ合衆国ワシントン州にも同名のオーケストラが存在しますが、これは全く別の団体です。

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