バーズ・アイ・ヴュー

バーズ・アイ・ヴュー

アメリカ合衆国のジャズ・トランペット奏者、ドナルド・バードが1955年12月に録音し、1956年にプレスティッジ・レコードから発表されたスタジオ・アルバム。

録音背景と参加メンバー

本作は、バードが当時活動に参加していたザ・ジャズ・メッセンジャーズのレギュラー・メンバーに、バードの盟友ともいえる同郷のトランペッター、ジョー・ゴードンが特別に参加した、トランペット2管を含むセクステット（六重奏団）という豪華な布陣で録音されました。

録音はバードがザ・ジャズ・メッセンジャーズのメンバーとして本格的に活動を開始した時期にあたります。参加ミュージシャンは、バードとゴードンに加え、テナー・サクソフォーンにハンク・モブレー、ピアノにホレス・シルヴァー、ベースにダグ・ワトキンス、そしてドラムスにはアート・ブレイキーと、当時のジャズ・シーンを牽引していた実力派が集結しました。特にホレス・シルヴァー、ダグ・ワトキンス、アート・ブレイキーの3人はザ・ジャズ・メッセンジャーズの核となるメンバーであり、この時期の彼らの緊密なアンサンブルがバードとゴードンのトランペットを力強く支えています。

このセッションで録音された音源のうち、「Crazy Rhythm」は本作には収録されず、1956年にリリースされたプレスティッジのコンピレーション・アルバム『Jazz in Transition』に収められました。

楽曲と評価

アルバムに収録された5曲はいずれも比較的長尺であり、各プレイヤーのソロが十分にフィーチャーされています。収録曲はダグ・ワトキンスによるブルース・ナンバー「Doug's Blues」、トランペット奏者ハーニーファン・マージード作曲の「El Sino」、スタンダード曲「Everything Happens to Me」、そしてハンク・モブレーが作曲した2曲「Hank's Tune」と「Hank's Other Tune」から構成されます。

音楽評論家のジェイソン・アンケニーは、オールミュージックにおいて5点満点中4点を献上し、本作を高く評価しています。彼は特に、各楽曲の長さを指摘しつつも、当時まだ若手ながらも円熟味を感じさせるバードの巧みなトランペット捌きが、セッション全体を見事に牽引していると評しています。参加メンバーの卓越した演奏も相まって、バードのリーダー作としてだけでなく、この時期のハード・バップを代表するセッションの一つとしても評価されるべき作品と言えるでしょう。

収録曲

1. ダグズ・ブルース ("Doug's Blues") (Doug Watkins 作曲) - 12:09
2. エル・シノ ("El Sino") (Harneefan Mageed 作曲) - 10:05
3. エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー ("Everything Happens to Me") (Tom Adair, Matt Dennis 作曲) - 5:47
4. ハンクス・チューン ("Hank's Tune") (Hank Mobley 作曲) - 7:45
5. ハンクズ・アザー・チューン ("Hank's Other Tune") (H. Mobley 作曲) - 7:29

参加ミュージシャン

ドナルド・バード - トランペット
ジョー・ゴードン - トランペット
ハンク・モブレー - テナー・サクソフォーン
ホレス・シルヴァー - ピアノ
ダグ・ワトキンス - ベース
アート・ブレイキー - ドラムス

外部リンク

* Discogs - 『バーズ・アイ・ヴュー』

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