バーゼル銀行監督委員会

バーゼル銀行監督委員会（BCBS）

バーゼル銀行監督委員会（Basel Committee on Banking Supervision; BCBS、通称：バーゼル委員会）は、1974年末にG10諸国の中央銀行総裁によって設立された、金融機関の監督における国際協力を推進する組織です。事務局はスイスのバーゼルにある国際決済銀行（BIS）内に置かれていますが、両者は法的に異なる組織です。

組織

BCBSのメンバーは、G20諸国を中心とした中央銀行および金融監督当局の代表者で構成されています。具体的には、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ロシア、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス、アメリカ合衆国などが参加しています。委員会は年4回開催されるほか、下部組織の会合も頻繁に開かれ、主要な結論はメンバー国の中央銀行総裁および監督当局長官に報告されます。2011年7月1日以降、スウェーデン国立銀行総裁のシュテファン・インクフェスが議長を務めています。

機能

BCBSは、銀行監督に関する国際的な共通理解を深めることで、世界各国の銀行監督の強化を目指しています。その活動を通じて、銀行監督に関する広範な規準、指針、推奨事項（バーゼル合意）を策定し、メンバー国やその他の国の規制当局が、それぞれの国内法を制定する際に参照することを促しています。これにより、銀行監督に関する国際的に共通のアプローチや規準が形成されることを目指しています。

ただし、BCBS自体は国際的な規制を制定または実施する権限を持っていません。その主な機能は、非公式な会合を通じて政策的な解決策や国際規格の評価を進めることにあります。

歴史

BCBSは、銀行業の国際的な展開が活発化する中で、外国銀行の活動が規制の範囲外に置かれないようにし、銀行に対する適切な監督を確保することを主な目的として活動を開始しました。1988年には、国際金融市場の安定性を向上させるため、国際的に活動する銀行の資本を強化することを目的とした共通の最低自己資本比率を決定しました。これが「バーゼルI」（BIS規制）として知られる合意です。

バーゼルIでは、銀行が保有する資産のリスクに応じて8%の自己資本を保有することが義務付けられました。しかし、1990年代後半以降のデリバティブ取引の普及など、金融市場の発展に伴い、その基準体系の不備が明らかになりました。そのため、BCBSはリスクの測定方法をより詳細にするなどした「バーゼルII」（2004年最終決定）を策定しました。

さらに、2007年から2008年にかけて発生した国際金融危機の教訓を踏まえ、BCBSは銀行の自己資本の質の向上やリスク管理の強化といった観点から、バーゼルIIの改訂作業を進めました。その成果は「バーゼルIII」と総称されています。バーゼルIIIでは、自己資本の質の向上、リスク管理の強化、レバレッジ比率の導入、流動性リスク管理の強化などが盛り込まれ、より強固な銀行システム構築を目指しています。

まとめ

バーゼル銀行監督委員会は、国際的な銀行監督の枠組みを構築し、金融システムの安定に貢献する重要な役割を果たしています。その活動は、各国の規制当局や金融機関に大きな影響を与え、国際金融市場の健全性を維持するために不可欠なものとなっています。


出典

* バーゼル銀行監督委員会 - 国際決済銀行サイト内

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