ドイツの保養都市、バート・オルプ
バート・オルプは、
ドイツ連邦共和国
ヘッセン州マイン=キンツィヒ郡に位置する、歴史と自然に彩られた保養都市です。
ドイツ最大の森林地域であるシュペッサルト自然公園の豊かな森に抱かれ、その美しい景観は訪れる人々を魅了します。
歴史
この地には
紀元前650年頃から
ケルト人が定住しており、古くから塩分を含んだ
鉱泉の存在が知られていました。
1050年には「Orbaha」「Orbbach」として文献に記録され、
1244年頃には都市権を獲得。貨幣鋳造権を得て、「オルバー・ヘルプリング」と呼ばれる硬貨が鋳造されました。
中世から
19世紀にかけては、塩水泉から塩を精製する産業が発展し、街の景観を特徴づけていました。
地理
バート・オルプは、
ヴェヒタースバッハ、バート・ゾーデン=ザルミュンスター、
ヨスグルント、
ビーバーゲミュントといった市町村と隣接しています。かつては、シュリュヒテルンからミルテンベルク近郊のグロースホイバッハに至る街道エーゼルヴェク(
ロバの道)がバート・オルプを通り、オルプの塩が
マイン川へ運ばれていました。
文化と観光
クアパークと枝条架装置
バート・オルプの象徴とも言えるのが、クアパークにある枝条架装置です。1806年に建造されたこの装置は、全長2,050mにも及び、サクラ属の低木の小枝に塩水を含んだ水を繰り返し流すことで濃縮・純化する役割を果たしました。現在では、長さ158m、高さ18mのものが保存されており、海洋性気候に似た環境の中で外気吸入を楽しむことができます。ヘッセン放送の番組「ヘッセンで最も愛されている観光地」で2位に選ばれたこともあります。
トスカーナ・テルメ
2010年にオープンしたトスカーナ・テルメは、建築家アンドレアス・オレルツが設計した、支柱のない木造建築の浴場・サウナ施設です。800m2の水面面積を誇り、6つの浴場のうち5つには32℃の温塩水が供給されています。「リキッド・サウンド・テンペル」では水中音楽を楽しむことができ、夜にはドーム内の水中照明が美しい光を放ちます。
歴史的な街並み
バート・オルプの旧市街には、フランケン様式の美しい木組みの家が建ち並んでいます。キルヒガッセには、ヘッセンで最も小さな家(幅1.58m)があり、芸術家ヘルムート・ヤーンが住んでいたことでも知られています。また、ハウプト通りには彫刻装飾が施された都市貴族の館、オーバートーア通りには街で最も古い木組み建築である「ズートプファンネ」など、見どころ満載です。
ペーター・フォン・オルプの伝説
三十年戦争の時代にオルプ周辺で悪事を働いた盗賊、ペーター・フォン・オルプの物語は、地元では
ロビン・フッドのように語り継がれています。捕らえられた彼は、飼い慣らされていた
キツネに救われ逃走。街の中心には、彼と
キツネの銅像が建てられています。
その他の見どころ
郷土博物館(バート・オルプ城内)
クアテアター
聖マルティン教会
聖ミヒャエル教会
マルティン=ルター教会
モルケンベルクの見張り塔
* シュペッサルト猟獣園
イベント
バート・オルプでは、年間を通して様々なイベントが開催されます。クアパークのリヒターメーレ、ディアローグ・デア・エレメンテ、
謝肉祭のパレード、クリスマスマーケット、シュペッサルト・チャレンジなど、四季折々の楽しみがあります。特に、製塩所の遺構周辺で行われる10月3日の枝条架祭は、街の歴史と文化を体感できる重要な祭りです。
経済
かつては製塩業で栄えたバート・オルプですが、現在では健康産業、療養産業、観光業が主要な産業となっています。「トスカーナ=テルメ」のオープンにより、経済的な上昇を遂げており、様々な文化的活動も盛んに行われています。また、「バート・オルバー・ゾルシンケン」という特産品も存在します。
バート・オルプは、その豊かな自然、歴史的な街並み、そして温泉施設など、様々な魅力を持つ保養都市です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体験してみてください。