バードランドの夜 Vol.1

『バードランドの夜 Vol.1』（A Night at Birdland Vol. 1）は、ジャズ・ドラム奏者アート・ブレイキーが率いるジャズ・メッセンジャーズの初期の熱気を伝える歴史的なアルバムです。1954年に10インチLP盤（レコード番号BLP5037）としてリリースされ、その後1956年には収録曲を一部変更した12インチLP盤（レコード番号BLP1521）が登場しました。

このアルバムの魅力は、何と言ってもクリフォード・ブラウンのトランペットの輝きでしょう。若き天才トランペッターの奔放かつ繊細なプレイは、聴く者を圧倒します。ルー・ドナルドソンのアルトサックスも、ブラウンとの対比で独自の個性を放っています。そして、ホレス・シルヴァーのピアノは、ハード・バップの萌芽を感じさせる洗練された響きで、バンド全体のサウンドを支えています。カーリー・ラッセルのベースは、堅実なリズムを刻み、ブレイキーのドラムと共に、バンドの推進力を生み出しています。

10インチLP盤と12インチLP盤では、収録曲が異なります。10インチ盤はA面に「スプリット・キック」、B面に「ワンス・イン・ア・ホワイル」と「クイックシルヴァー」が収録されています。一方、12インチLP盤ではA面に「スプリット・キック」「ワンス・イン・ア・ホワイル」「クイックシルヴァー」が収録され、B面には「チュニジアの夜」と「メイリー」が追加されています。「チュニジアの夜」は、ディジー・ガレスピーの代表曲として知られ、ブレイキーのバンドによる熱い演奏が繰り広げられます。「メイリー」は、ブレイキーの作曲によるエキゾチックな雰囲気のナンバーです。

演奏メンバー

アート・ブレイキー - ドラムス
クリフォード・ブラウン - トランペット
ルー・ドナルドソン - アルトサックス
カーリー・ラッセル - ベース
ホレス・シルヴァー - ピアノ

参考文献

油井正一、マイケル・カスクーナ『ブルーノートJAZZストーリー』新潮社〈新潮文庫〉、1987年7月
* 中山康樹『超ブルーノート入門 : ジャズの究極・1500番台のすすめ』集英社〈集英社新書〉2002年10月

『バードランドの夜 Vol.1』は、バードランドというニューヨークの伝説的なジャズクラブでのライブ録音であり、当時のジャズシーンの熱気をダイレクトに伝える貴重な記録です。アート・ブレイキーとクリフォード・ブラウンという二人の天才が繰り広げる音楽的な対話は、聴く者を興奮させ、ジャズの奥深さを改めて感じさせてくれるでしょう。ジャズファンはもちろん、ジャズをこれから聴いてみようという方にもおすすめしたい名盤です。

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