バーリトゥード

バーリトゥード：何でもありの格闘技、その歴史と現状

バーリトゥード（Vale tudo）は、ポルトガル語で「何でもあり」を意味する格闘技です。20世紀のブラジルで生まれ、最小限のルールのもとで戦うスタイルが特徴です。様々な武道の技術を取り入れているため、今日の総合格闘技の原型と見なされることもあります。

歴史

1920年代～1980年代：黎明期

バーリトゥードの起源は1920年代のブラジルに遡ります。サーカスの余興として人気を博し、様々な格闘技の使い手たちが技を競い合いました。1929年には、柔道家の大森とカポエイラの選手が対戦し、大森が勝利した記録が残っています。これが史上初のバーリトゥードとされることもあります。

1950年代後半には、リオデジャネイロのテレビ番組で格闘技戦が放映され、「バーリトゥード」という言葉が一般的に使われるようになりました。グレイシー一族が番組に関わり、ブラジリアン柔術の強さを示しました。しかし、過激な展開から番組は打ち切りとなり、バーリトゥードは一時的にサブカルチャーとして細々と存続することになります。

1990年代以降：世界への進出とルールの整備

1990年代に入ると、ホリオン・グレイシーがアメリカでUFCを創設し、バーリトゥードを世界に紹介しました。UFCの成功により、バーリトゥードは日本やブラジルで人気が再燃し、数々の大会が開催されました。特に、World Vale Tudo Championship (WVC) やInternational Vale Tudo Championship (IVC) は、多くの格闘家にとって登竜門となりました。

しかし、サンパウロ州がバーリトゥードの試合を禁止したため、WVCとIVCは衰退しました。その後、ジャングル・ファイトやBitetti Combatといった団体が、より安全な総合格闘技のルールを導入するようになりました。

現在のバーリトゥード

現在でも、バーリトゥードの興行はブラジル各地で行われています。しかし、その過激さから、アンダーグラウンドな存在としてメディアで取り上げられることも多く、スポーツ評論家からは、より安全な総合格闘技のルールを採用すべきだという意見が出ています。一方、伝統的なバーリトゥードの支持者は、総合格闘技とは異なる独自のスポーツとして捉えるべきだと主張しています。

ルール

バーリトゥードのルールは、大会や団体によって異なります。「何でもあり」が原義であるため、ルールが限定されることもありますが、グレイシー一族は反則が多いルールでの大会参加を拒否することがありました。最も限定的なルールでも、噛み付きや目への攻撃は禁止されています。

バーリトゥードは、その過激さゆえに賛否両論ありますが、総合格闘技のルーツとして、格闘技の世界で重要な役割を果たしてきたことは否定できません。今後、どのように進化していくのか、注目されます。

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