バール (単位)

バールについて

バール（bar）は圧力の単位で、厳密には105パスカル（Pa）に相当します。これは国際単位系（SI）に組み込まれていない非SI単位ですが、メートル法系の一環として使用されてきました。バールは元々、1平方センチメートルの面積に1メガダインの力が作用する際の圧力として定義されており、気圧1atmに非常に近い値です。具体的には、1atmは約1.01325バールです。この誤差は実用的な測定範囲内では無視できる程度です。

バールの単位記号は「bar」であり、ミリバール（mbar）という単位も存在しましたが、ヘクトパスカル（hPa）に取って代わられています。日本では、計量法によってバールが基本的な計量単位として位置付けられていますが、1992年以降は主にパスカルが圧力の単位として公式に使用されています。課題とされるのは、バールがCGS単位系やMKS単位系と一貫性を持たず、基本単位から構成できない点です。

バールの歴史

バールという単位は、1911年に気象学者V・ビヤークネスによって提唱され、1914年からは気象報告に使われ始めました。この名称は古代ギリシャ語の「βάρος（báros）」に由来し、重さを意味します。CGS単位系の圧力単位であるバリ（barye）とも関連していました。

日本の気象分野では、長い間水銀柱ミリメートル（mmHg）が使用されていましたが、1945年にミリバールに、さらに1992年にはヘクトパスカルに移行しました。国際単位系の文書においては、1970年から1991年まではバールは暫定的に使用できる単位とされ、その後はほとんどの国際的な文献から姿を消しました。特に、2019年には国際的に全く認められない存在となりましたが、アメリカでは依然としてミリバールが使われています。

ヘクトパスカルの導入

ミリバールからヘクトパスカルへの変更は、気象関係者の要望によって推進されました。本来であれば、キロパスカルが導入されるべきところですが、SIの接頭語「ヘクト」を用いたため、ヘクトパスカルという名前が採用されました。1ミリバールは1ヘクトパスカルと等しく、これにより数値をそのまま活用できるメリットが生まれました。

派生単位

バールには、メガバール（Mbar）、キロバール（kbar）、およびミリバール（mbar）という倍量と分量の単位が存在します。また、絶対圧を示すために「bara」を、ゲージ圧を示すために「barg」を用いることもあります。

結論

バールは圧力の計測において重要な位置を占めている単位であり、特に気象分野における使用は非常に多岐にわたります。その変遷に伴い、ヘクトパスカルに移行することで、圧力の測定においてより直感的な理解が可能となりました。近年では国際的な範囲での使用が制限されてきているとはいえ、バールにはその歴史と功績があると言えるでしょう。

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