ダイン

ダイン（dyne）とは

ダイン（記号: dyn）は、CGS単位系において用いられていた力の単位です。しかし、現在では国際単位系（SI）のニュートン（N）が推奨されており、ダインは非SI単位かつ非法定計量単位として、ほとんど使用されなくなっています。

ダインの定義

ダインは、質量1グラム（g）の物体に働くとき、その方向に1センチメートル毎秒毎秒（cm/s²）の加速度を与える力として定義されます。つまり、1 dyn = 1 g·cm/s² と表されます。また、1ダインの力で1センチメートル物体を動かす際に必要なエネルギーは1エルグ（erg）と定義されています。

ニュートンとの関係

ダインの定義において、グラムをキログラム（kg）、センチメートルをメートル（m）に置き換えると、国際単位系における力の単位であるニュートンの定義になります。この関係から、以下の変換式が成り立ちます。

1 N = 1 kg·m/s² = (1000 g)·(100 cm)/s² = 100000 g·cm/s² = 10⁵ dyn
1 dyn = 10⁻⁵ N

このように、ダインはニュートンの10万分の1の大きさの力であり、ダインはニュートンの下位単位に相当します。

法定計量単位としての扱い

ダインは非SI単位であり、SI単位であるニュートンの使用が推奨されています。日本においては、SIへの移行を目的とした新計量法により、1993年11月1日から力の単位としてニュートンを使用することが定められました。そして、1995年10月1日以降は、商取引などにおけるダインの使用が禁止されています。

メガダインについて

1メガダイン（Mdyn）は10⁶ダインであり、10ニュートンに相当します。1メガダインは、かつて1重量キログラム（kgf）に近い値（1 kgf = 0.980665 Mdyn）であることから、実用的な単位として広く使われていました。しかし、現在ではSI単位への移行に伴い、メガダインの使用も減少しています。

歴史

「ダイン」という名称は、1873年にイギリス科学振興協会で初めて提案されました。これは、CGS単位系における力の組立単位に対する固有の名称として導入されました。この名称は、「力」を意味するギリシア語の δύναμις に由来しています。

まとめ

ダインはCGS単位系における力の単位であり、その定義は1グラムの物体を1cm/s²で加速させる力です。国際単位系におけるニュートンとの関係は密接であり、ダインはニュートンの10万分の1の力として表されます。現在では、SI単位であるニュートンの使用が推奨され、ダインはほとんど使用されなくなっています。しかし、歴史的な経緯を理解する上で、ダインの知識は重要です。

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