バールバラ大陸

バールバラ大陸の概要

バールバラ大陸（Vaalbara）は、約30億年前に地球上に存在したとされる超大陸です。この名称は、現在のアフリカ大陸の南部に位置するカープバールクラトン（Kaapvaal craton）と、オーストラリア大陸の西部に存在するピルバラクラトン（Pilbara craton）から名付けられました。このふたつのクラトンが、30億年前には隣接していた可能性があることから、バールバラ大陸の存在が提唱されるに至りました。

バールバラ大陸の形成と時期

バールバラ大陸の形成は、約36億年前に始まり、31億年から28億年の間に存在したと考えられています。ただし、これらの年代には大きな誤差があるため、詳細にはまだ多くの不確実性が残っています。研究者たちの間では、バールバラ大陸が地球最初の超大陸であったかどうかについて意見が分かれており、19億年前に誕生したヌーナ大陸が最初であるとも言われています。

バールバラ大陸について、具体的な形状や大きさは不明ですが、カープバールクラトンとピルバラクラトンが現在も存在しているため、少なくともこれらのクラトンに関連する地質情報は明らかになっています。

クラトンの特性

カープバールクラトンは現在の南アフリカに位置し、その一部は地殻を形成しています。一方、ピルバラクラトンはオーストラリアの西部に存在し、こちらも地殻の一部を構成しています。この二つのクラトンは、現在では異なる大陸に分かれていますが、バールバラ大陸が存在していたころには、接触していたと考えられています。

この形状を支持する証拠としては、両クラトンの地層が35億年前から27億年前の地層に類似した構造を持ち、共に同じ環境下で形成された可能性が示唆されています。1996年には、この仮説が発表され、さらに放射年代測定により34億7,000万年前に隕石の衝突痕跡が両クラトンで見つかりました。この隕石衝突によって生じたガラス質の小球は、最古の隕石落下物として知られています。

バールバラ大陸の存在と不確実性

バールバラ大陸の存在時期について、31億年から28億年の間に存在したとされますが、これには大きな疑問が残ります。ウィルソンサイクルという理論によれば、地球の超大陸は周期的に形成され、分裂することが繰り返されているとされています。バールバラ大陸が存在していた時期も、こうしたサイクルに組み込まれていた可能性がありますが、実際には詳しい成り立ちは解明されていません。

古地磁気学的調査の結果、カープバールクラトンとピルバラクラトンはかつて同じ緯度に存在したことが示されており、分離が始まったのは約28億年前と考えられていますが、これもあくまで限られた証拠に基づくものです。このように、バールバラ大陸についての理解はまだ初期段階で、多くの謎が残されている状況です。

結論

バールバラ大陸は、非常に古い時代の存在であるため、その全貌は未だ多くの点で不明瞭です。しかし、現存するクラトンの研究を通じて、古代の地球の歴史や地質学的な変遷を理解する手助けとなっています。

参考文献

• - J. Dann et al. (1998) 「Vaalbara, Earth's oldest assembled continent?」
• - M.T.D. Wingate (1998) 「paleomagnetic test of the Kaapvaal-Pilbara connection at 2.78 Ga」
• - 川上 紳一、東條 文治 (2006) 『図解入門 最新地球史がよくわかる本』

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