バ州

バ州 (Ba Province)

フィジー共和国を構成する14の行政区画の一つであるバ州は、国内最大の島であるヴィティレヴ島の北西部に広がる広大な地域です。フィジーの主要な地域区分である西部地域に位置し、その中心となる州都はバです。この州は、その規模においてフィジーで二番目に広く、約2,634平方キロメートル（1,017平方マイル）の面積を占めています。

人口と地域社会

バ州の最も特筆すべき点は、その人口の多さです。2017年の国勢調査によれば、バ州には247,708人が居住しており、これはフィジー共和国の総人口の四分の一を超える数となります。このため、バ州はフィジー国内で最も多くの人々が暮らす、活気あふれる地域となっています。

州の領域は広範にわたり、多様な町や地区を含んでいます。主要な構成要素としては、バ地区、マゴドロ、ナディ地区、ナワカ、タヴア地区、ヴダ地区、そしてヴィトゴが挙げられます。また、ヴィティレヴ島の西部海岸沿いに位置するフィジーの主要都市であるラウトカやナンディもバ州の管轄下にあります。これらの都市はそれぞれ重要な経済的役割を担っており、特にナンディにはフィジーの玄関口である国際空港があります。さらに、ヴィセイセイやタブアといった集落、そして美しいヤサワ諸島もバ州の一部を形成しています。

歴史と文化遺産

バ州は、フィジーの豊かな歴史と文化において重要な役割を果たしてきた地域です。特に、ヴダ岬はフィジー人の祖先であるメラネシアンが、遠い昔にカヌーで初めてヴィティレヴ島に上陸したとされる伝統的な場所として、深く敬意を集めています。この伝説的な上陸地の近くにあるヴィセイセイ村は、かつてフィジー最古の都であったという伝説が語り継がれており、文化的な象徴となっています。このヴィセイセイ村は、後にフィジー共和国の第三代大統領を務めることになるラツ・ジョセファ・イロイロ氏の出身地でもあります。

政治とリーダーシップ

バ州は、フィジーの政治を牽引してきた多くの著名なリーダーを輩出してきた地域としても知られています。先に述べたラツ・ジョセファ・イロイロ氏（第三代大統領）のほか、伝統的な指導者の中心である大族長会議の議長を務めたラツ・オヴィニ・ボキニ氏もバ州の出身です。また、フィジーの政治史において重要な役割を果たしたティモシ・バヴァドラ氏やマヘンドラ・チャウドリー氏といった、かつて首相の地位にありながらクーデターによって退陣を余儀なくされた政治家たちも、バ州にゆかりがあります。ラツ・テヴィタ・モモエドヌ氏もこの州出身であり、現在、バ州の首相を務めています。

まとめ

このように、バ州はその広大な面積に国内最多の人口を擁し、主要な都市や経済活動の中心地、そして歴史的に重要な地を含んでいます。古くからの伝統と文化が息づく一方で、現代フィジーの社会と経済において不可欠な役割を担っており、多くの政治的リーダーを輩出してきた実績も持っています。地理的な重要性、活発な地域社会、そして深い歴史を持つバ州は、フィジー共和国全体にとって極めて重要な存在と言えるでしょう。

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