パイカ

パイカは、主に印刷業界で使用される長さの単位であり、1パイカは1/6インチ、または12ポイントと定義されます。この単位の歴史は18世紀に遡り、フランスの印刷業者であるフランソワ＝アンブロワーズ・ディドー (François-Ambroise Didot) が、ピエール＝シモン・フルニエ (Pierre-Simon Fournier) による単位系を改良したことに始まります。

ディドーは、シセロなど当時用いられていた伝統的な長さの単位をポイント単位に換算し、新たな単位系を構築しました。この功績により、印刷業界における標準化が進み、より正確な組版が可能となりました。

現代において、「パイカ」という単位は、主に以下の3種類のいずれかを表します。

1. フレンチ・パイカ: ディドーが定義したもので、古い単位であるシセロと等しい長さです。具体的には、12 × 0.376 = 4.512 mm (約0.177インチ) となります。
2. アメリカン・パイカ (ジョンソン・パイカ): アメリカで定義されたパイカであり、350 ÷ 83 = 4.2175 mmです。
3. コンピュータにおけるパイカ: 国際フィートの1/72と定義されるパイカで、4.233 mm (約0.166インチ) に相当します。PostScriptがこの定義を採用したことから、プリンター業界で広く使用されています。

タイプライターにおけるパイカの設定は、これらとは異なり、水平方向の1インチに10文字を表示する大きさを指します。文字のサイズを表す単位として用いられ、1インチあたりの文字数でフォントサイズが決定されます。

パイカは通常、大文字の「P」で表記され、斜線 (/) が後に続くことがあります。一方、ポイントは小文字の「p」で表記されます。パイカとポイントを組み合わせて表記する際には、「P/」の後にポイント数を記述し、多くの場合、ポイントを表す「p」を付加します。以下に例を示します。

5p: 5ポイント
6P/2p: 6パイカ2ポイント = 74ポイント (6 × 12 + 2 = 74)
* 1P/1: 13ポイント (1 × 12 + 1 = 13)

CSS（Cascading Style Sheets）においては、パイカは "pc" という単位で表されます。この場合のパイカは、1/6インチとして定義されています。

このように、パイカは印刷、出版、ウェブデザインなど、様々な分野で用いられる長さの単位であり、その定義や使用法は文脈によって異なる場合があります。単位を使用する際には、どの定義に基づいているかを確認することが重要です。

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