パイソン (ミサイル)

パイソンミサイルの詳細

パイソンは、イスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社によって開発された短距離空対空ミサイルです。初代モデルは「パイソン3」で、続く発展型には「パイソン4」と「パイソン5」があります。これらのミサイルは、イスラエルの空軍力を支える重要な役割を果たしており、それぞれ異なる特徴と性能を持っています。

1. パイソンの歴史

パイソンの開発は、1970年代前半に開始されました。それ以前は、イスラエルはAIM-9Bを改良した「シャフリル2」を使用していましたが、これに代わる新しいミサイルの必要性が高まりました。その結果、シャフリル2の経験が活かされて、パイソン3が誕生したのです。パイソンという名称は、シャフリルシリーズが完了した後、3からの命名となったことを示しています。

2. パイソン3の特徴

パイソン3は1982年に実戦投入され、全方向に対応可能な射程15kmを持っています。このミサイルは、監視体制を打破し、ターゲットを迅速に捕捉するための優れた機能を備えており、前部に4つのカナード、後部に安定翼を持つ特徴をしています。さらに、中国においてはライセンス生産され、「PL-8」として運用されています。

PL-8モデル

PL-8は、中国の西安東機械工場によってライセンス生産されたパイソン3のバリエーションです。1982年にライセンス契約が締結され、1996年には運用が開始されました。PL-8はさまざまな型式があり、部品の依存度や生産方法が異なります。特にPL-8Bは完全なライセンス生産型であり、自国で組み立てられた部品が使用されています。

3. パイソン4の進化

1990年代に登場したパイソン4は、攻撃能力や対妨害能力が強化され、双眼赤外線センサーを搭載しています。このモデルは、より精度の高い攻撃を可能にするために、近接信管を使って撃墜率の向上を図っています。これにより、既存の空対空戦術に新たな選択肢を提供しました。

4. パイソン5の最前線

2000年代に配備が始まったパイソン5は、さらに進化を遂げました。慣性航法装置を内蔵し、発射後ロックオン（LOAL）能力を持ちます。これにより、通常の攻撃範囲を超えた戦闘が可能になります。センサー角は100度であり、オフ・ボアサイト能力も優れています。このミサイルは、アメリカのUCAVに搭載される候補ともなっており、国際的な需要も高まっています。

5. 派生型と採用国

パイソンミサイルシリーズの派生型には、地対空ミサイルシステムであるSPYDERがあり、ダービーおよびパイソン5が使用されています。各国の軍隊でも積極的に導入されており、アルゼンチン、インド、ブラジルなど、多くの国々がパイソン4や5を採用しています。

これまでの歴史の中で、パイソンシリーズは数々の改良が加えられ、その性能を進化させてきました。空対空戦闘におけるこのミサイルの役割は、今後も非常に重要であり続けるでしょう。

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