パイレックス

パイレックス：耐熱性に優れたホウケイ酸ガラス

パイレックスは、アメリカのコーニング社が製造するホウケイ酸ガラスのブランド名です。その高い耐熱性から、高温環境下での使用を想定して開発されました。特に天文分野においては、望遠鏡などの光学機器の視窓材料として広く利用されています。

パイレックスの大きな特徴は、その耐熱性と透明性です。高温下でも変形や破損を起こしにくいため、様々な熱処理工程や高温観察に適しています。また、多くの製品は高い透明度を誇り、光学機器においてはクリアな視界を確保するために不可欠な特性です。

製品形態は多様で、厚さ2mm程度から4cm以上までの板状のものがロール状に梱包され、代理店を通じて販売されています。用途に合わせて様々なサイズを選択可能です。その他、円盤状に成形された製品も存在します。これらの製品は、製造工程や添加物などの違いにより、透明なものだけでなく、薄い黄色や緑色、灰色がかった不透明なものもあります。

パイレックスの組成は、主に[石英]]（SiO2）から構成され、酸化ホウ素]、[酸化ナトリウム]、[酸化アルミニウム]、[酸化カリウム]などが含まれています。具体的な組成比は、[[石英80.7%、酸化ホウ素12.9%、酸化ナトリウム3.8%、酸化アルミニウム2.2%、酸化カリウム0.4%程度です。これらの成分の配合比率によって、耐熱性、透明性、その他の特性が調整されています。

高い耐熱性と透明性に加え、パイレックスは化学的にも安定しており、様々な化学薬品に対する耐性も高いです。そのため、化学実験や分析機器など、幅広い分野で利用されています。また、反射鏡の材料としても使用されており、その高い光反射率と耐熱性から、高性能な反射鏡の製造に貢献しています。

パイレックスは、その優れた特性から、天文観測機器のみならず、化学実験、工業用途など多岐にわたる分野で利用されている重要な材料です。今後も、更なる改良や新たな用途開発が期待されています。

参考文献

吉田正太郎『天文アマチュアのための望遠鏡光学・反射編』誠文堂新光社 ISBN 4-416-28813-1

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