パウル・ハウサー

パウル・ハウサー：ナチスドイツの陸軍将軍

パウル・ハウサー（1880年-1972年）は、ドイツの陸軍軍人で、ナチス親衛隊及び武装親衛隊の高官として名を馳せました。彼は、国家社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）への情熱と、武装親衛隊における影響力の両方で知られています。ハウサーのキャリアは、これまでの陸軍の伝統に基づくものであり、同時にナチスの戦争機構の中で重要な役割を果たしました。

初期の生活と軍歴

ハウサーは、プロイセン王国のブランデンブルク・アン・デア・ハーフェルに生まれ、軍人の家庭で育ちました。父親もプロイセン軍の少佐であり、彼は早くから軍人としての道を志すこととなります。1892年に軍の幼年学校に入学し、その後、プロイセン陸軍士官学校で教育を受けました。1899年には少尉に任官となり、その後は様々な部隊でキャリアを積み重ね、第一次世界大戦においては第109歩兵師団で参謀将校として活躍しました。

戦後もヴァイマル共和国軍に残り、1932年に退役するまで、豊富な経験を積みながら多くの地位を歴任しました。

武装親衛隊への移籍

1933年、ナチ党が政権を握ると、ハウサーは右翼団体である鉄兜団に参加。その後、1934年に親衛隊に移籍しました。彼は、武装親衛隊の前身である親衛隊特務部隊の編成に中心的な役割を果たしました。ヒムラーの指導の下でハウサーは「ヒムラーの政治的兵士たち」を指導し、彼らを戦闘-readyの状態に鍛え上げました。

第二次世界大戦

第二次世界大戦が始まると、ハウサーは多くの戦闘に参加しました。ポーランド侵攻では、親衛隊特務部隊が混合師団として編成され、彼はその指揮官となりました。1940年の西方電撃戦では、フランスへの侵攻においても重要な役割を担い、戦争の名声を高めました。特に、1941年の独ソ戦におけるモスクワの戦いでは、先鋒部隊として指揮を執り、見事な奮闘を見せましたが、この戦闘中に右目を負傷しました。

1942年には、SS装甲軍団司令官に昇進し、ハリコフにおける激しい戦闘に従事します。総統の命令に反して全軍撤退を決断し、部隊を救ったことでさらなる評価を得ました。その後もクルスクの戦いで活躍し、柏葉騎士十字章を受章しました。

戦後の活動

戦後は、1948年まで米軍の捕虜収容所に拘留されましたが、ニュルンベルク裁判では弁護側証人として証言しました。彼は武装親衛隊が純粋な軍事組織であると主張し、自らの立場の正当性を示しました。また、武装親衛隊の名誉回復に努め、回顧録も著しました。最終的に1972年にルートヴィヒスブルクで死去しました。

結論

パウル・ハウサーは、ナチスドイツ時代の軍人の中でも特に複雑な背景を持つ人物であり、彼の人生は当時の政治的文脈の中で様々な要素が絡み合っています。その独自の経歴は、軍事力の展開と政治的意図が交差する興味深い事例として、今後も歴史的研究の対象となるでしょう。

もう一度検索