パウル・メンデルスゾーン (銀行家)

パウル・ヘルマン・メンデルスゾーン＝バルトルディ

パウル・ヘルマン・メンデルスゾーン＝バルトルディは、1812年10月30日に生まれ、1874年6月21日に没した、19世紀ドイツの代表的な銀行家です。彼の名は、同姓同名で兄フェリックスの息子にあたる甥のパウルと区別するために、しばしばフルネームで言及されます。

生い立ちと家族

ベルリンで、父アブラハムと母レアの次男として誕生しました。著名な姉ファニー（ピアニスト、作曲家）や、世界的に知られる作曲家である兄フェリックス、そして姉レベッカと共に育ちました。芸術に深く根ざした家庭環境でした。1835年には、ベルリンの銀行家一族出身であるアルベルティーネ・ハイネ（1814-1879年）と結婚し、5人の子どもたち、パウリーヌ（1844-1863年）、カタリーヌ（1846-1906年）、エルンスト（1846-1909年）、ゴットホールト（1848-1903年）、ファニー（1851-1924年）を授かります。また、兄フェリックスの子である甥のカールとパウル、そして姉レベッカの娘である姪フローラ・ディリクレも、彼の家庭で一緒に育ちました。

銀行家としてのキャリア

パウルは若い頃からビジネスの世界に進み、1831年から1833年にかけてロンドンとパリで研鑽を積みました。その学びを活かし、1838年には父が設立した名門銀行、Mendelssohn & Co. に入社します。長きにわたり銀行業務に携わり、1871年には取締役に昇進しました。取締役としては、ロシアをはじめとする外国との取引を積極的に手掛け、銀行の国際的な事業拡大に貢献しました。また、ハンブルクでは、「パウル・メンデルスゾーン＝バルトルディ」という名前で、ベルリン本社の協力関係にある子会社の経営を任されていました。さらに、1865年から1871年の期間には、プロイセン政府の財政顧問を務めるなど、その銀行家としての能力は国家の中枢でも認められていました。

音楽への造詣とフェリックスとの関係

芸術家である兄弟姉妹に囲まれて育ったパウル自身も、音楽に対して深い理解と才能を持っていました。特にチェロの演奏に長けていたと言われています。また、彼は兄フェリックスの遺した多くの作品を所有しており、フェリックスの没後には、その膨大な書簡の中から2巻を選び、共同で編纂作業を行うなど、兄の芸術的遺産を守り伝えることにも力を尽くしました。

晩年と遺産

1874年6月21日、パウルはベルリンのシャルロッテンブルク区で生涯を閉じました。彼の墓は、ベルリンのクロイツベルク区にある聖三位一体教会第1墓地にあります。パウルの死後、Mendelssohn銀行は彼の息子エルンストが事業を引き継ぎ、さらにその息子である孫のパウルへと継承され、メンデルスゾーン家による銀行経営の伝統は続きました。銀行家として、また文化的な側面を持つ人物として、彼はメンデルスゾーン家の歴史において重要な位置を占めています。

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