パウロ・ワンチョペ

パウロ・ワンチョペ：コスタリカの英雄、その輝かしい軌跡

パウロ・ワンチョペ（Paulo César Wanchope Watson）は、1976年7月31日にコスタリカのエレディアで生まれました。彼は元プロサッカー選手であり、現在は指導者として活躍しています。フォワードとして、その才能を国内外で発揮し、コスタリカ代表としても重要な役割を果たしました。

生い立ちと初期のキャリア

サッカー一家に生まれたワンチョペは、幼い頃からサッカーに親しんで育ちました。彼の父、ビセンテ、叔父のカルロス・ワトソン、そして兄のハビエルもサッカー選手という環境が、彼のサッカーへの情熱を育みました。6歳でサッカーを始め、当時のお気に入りの選手はブラジルのロマーリオでした。

1994年、18歳で地元のクラブ、CSエレディアーノとプロ契約を結び、プロとしてのキャリアをスタートさせました。

ヨーロッパでの挑戦

1997年、ワンチョペは憧れていたヨーロッパでのプレー機会を掴みます。イングランドのFAプレミアリーグに所属するダービー・カウンティFCへ移籍し、アウェーのマンチェスター・ユナイテッドFC戦でリーグデビューを飾ると、1得点1アシストという鮮烈なデビューを飾りました。1998年には13得点を挙げ、チームの得点王に輝きました。

1999年には、ウェストハム・ユナイテッドFCへ移籍し、パオロ・ディ・カーニオと共にチームの得点源として活躍しました。2000年にはマンチェスター・シティFCへ移籍し、イングランドで9シーズンに渡ってプレーしました。彼は後に、マンチェスターでの日々を「ファンの雰囲気を含めて最良の時」と振り返っています。2003-04シーズン終盤には得点を量産し、特に第36節のニューカッスル・ユナイテッドFC戦で挙げた決勝点は、クラブを2部降格の危機から救う貴重な得点となりました。

スペイン、カタール、アルゼンチンでのプレー

2004年、ワンチョペはスペインのマラガCFへ移籍し、フェルナンド・バイアーノに次ぐチーム2位の6得点を挙げました。2005年にはカタールのアル・ガラファ、2006年にはアルゼンチンのCAロサリオ・セントラルへ移籍し、多様なリーグでのプレーを経験しました。

日本での挑戦と苦悩

2007年、JリーグのFC東京は、FWルーカスを中盤で起用することを視野に入れ、新たなFWとしてワンチョペを獲得しました。彼は独特のリズムで相手DFを置き去りにするなど、高い能力の片鱗を見せましたが、古傷である右膝の怪我の影響で運動量は少なく、日本のサッカーに適応できませんでした。同年6月19日には原博実監督から事実上の戦力外通告を受け、同月30日に自ら契約解除を申し出てFC東京を退団しました。

MLSでの再起と引退

2007年7月、MLSのシカゴ・ファイアーへ移籍し、マンチェスター時代に指導を受けたフアン・カルロス・オソリオの元で再起を図りましたが、膝の怪我のため同年11月16日に現役引退を表明しました。

コスタリカ代表としての活躍

ワンチョペは、コスタリカ代表としても輝かしい実績を残しています。1995年にはU-20コスタリカ代表としてワールドユース選手権に出場し、1996年にはベネズエラ代表戦で国際Aマッチデビューを果たしました。1998年のCONCACAFゴールドカップでは、キューバ相手に4得点を挙げ、メキシコのルイス・エルナンデスと共に得点王に輝きました。

2001年のコパ・アメリカでは、招待チームとして参加し、コロンビアのビクトル・アリスティサバルに次ぐ5得点を挙げ、チームのベスト8入りに貢献しました。2002年のワールドカップでは、ブラジル戦でロナルド・ゴメスとの連携から1得点を挙げました。2006年のワールドカップでは、開催国ドイツとの開幕戦で2得点を挙げましたが、チームは3戦全敗に終わりました。この大会を最後に代表を引退しました。

指導者としてのキャリア

現役引退後、ワンチョペは指導者としての道を歩み始めました。2008年4月にはCSエレディアーノの監督に就任し、2010年からはCSウルグアイ・デ・コロナドの監督を務めました。2011年9月からは、ホルヘ・ルイス・ピント監督の下でコスタリカ代表のアシスタントコーチとなり、2014 FIFAワールドカップ後には監督代行を務めました。同年9月には、コパ・セントロアメリカーナで優勝を果たしました。

2015年1月には、正式にコスタリカ代表監督に就任しましたが、同年8月にU-23代表の試合を視察中に警備員との乱闘事件を起こし、代表監督を辞任しました。

人柄とエピソード

ワンチョペは、10代の頃にはバスケットボール選手でもあり、1993年にはコスタリカ代表として中央アメリカのバスケットボール・トーナメントに出場しました。彼は英語、スペイン語、イタリア語を話せ、ポルトガル語も理解できます。日本語はいくつかの単語を知っている程度です。

パウロ・ワンチョペは、その卓越したサッカーの才能と、指導者としての経験を通じて、コスタリカのサッカー界に多大な貢献をしてきました。彼の名は、コスタリカのサッカー史に永遠に刻まれることでしょう。

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