パガニーニの主題による狂詩曲

パガニーニの主題による狂詩曲　作品43

『パガニーニの主題による狂詩曲』（ロシア語: Рапсодия на тему Паганини для фортепиано с оркестром）は、セルゲイ・ラフマニノフが1934年に完成させた協奏的な変奏曲です。この作品は、ピアノ独奏と管弦楽により構成され、全体で25のセクションからなります。初演は同年11月にボルチモアで行われ、ラフマニノフ自身がピアノを担当し、指揮はストコフスキーでした。

作曲の背景

ラフマニノフは、ロシア革命の影響を受けて母国を離れ、アメリカで新しい生活を始めました。しかし、演奏家としての多忙さから、彼は作曲活動に時間を費やせずにいました。心に深い喪失感と創作意欲の枯渇を感じながらも、1931年にスイスのルツェルン湖畔に建てた別荘にて作曲を開始。1934年の夏にこの作品が誕生しました。

曲の内容と構成

この狂詩曲は、パガニーニのヴァイオリン作品『24の奇想曲』第24番の主題を基にしています。作品は、主題及び24の変奏から構成されており、一般の変奏曲とは異なり、第1変奏の前に主題が繰り返される独自のスタイルが特徴です。また、演奏時間は約22～25分となっています。

楽器編成

この作品には、独奏ピアノとオーケストラが用いられ、以下のような編成になります。

• - フルート
• - オーボエ
• - クラリネット
• - ファゴット
• - ホルン
• - トランペット
• - トロンボーン
• - ティンパニ
• - 弦楽器群

各変奏の概要

では、曲の構成を詳しく見ていきましょう。

1. 序奏（Allegro vivace）: 主題の動機が繰り返されます。
2. 第1変奏（Allegro vivace）: オーケストラによる断続的な主題演奏。
3. 主題: ピアノが主題を演奏し、ヴァイオリンが掛け合いをします。
4. 第2変奏: ピアノとオーケストラが役割を交替。
5. 第3変奏: オーケストラの細かい動きに対してピアノがオブリガードを演奏。
6. 第4変奏: テンポが増し、二つのパートが掛け合う。
7. 第5変奏: 歯切れの良いリズム。
8. 第6変奏: テンポは保たれつつ動きが遅くなる。
9. 第7変奏: テンポが遅く、特に「怒りの日」のテーマが響き渡る。
10. 第8変奏: 初めに戻り、リズムの強まりを感じる。

（以下、変奏の番号を続けて詳述）

有名な第18変奏

特に、第18変奏は、この作品の中でも非常に著名であり、しばしば独奏で演奏されることもあります。この変奏は、パガニーニの主題の反行形が用いられ、心に残るメロディが印象的です。

パガニーニの影響

ラフマニノフは、パガニーニのバイオリン技巧を巧妙に活かしつつ、彼自身の音楽的アイデンティティを見出しています。特に、音楽の背景に隠された悪魔の伝説や技術には、作品に込められた深い思索が反映されています。

影響と受容

この作品は、バレエ化されるなど多岐にわたって影響を及ぼしました。さらに、映画やポピュラー音楽、コマーシャルなど多方面で利用されており、現代においてもその魅力は色あせることがありません。音楽愛好家や演奏家たちにとって、永遠の名曲として愛されています。

もう一度検索