パガニーニ国際コンクール

パガニーニ国際コンクール（イタリア語: Premio Paganini）は、ヴァイオリンの巨匠ニコロ・パガニーニの生誕地として知られるイタリアの港町ジェノヴァで開催される、国際的に名高いヴァイオリニストのための音楽コンクールです。

1954年に創設されたこのコンクールは、当初は毎年開催されていましたが、2002年以降は隔年で開催される形式に変更されました。2004年には、その歴史における大きな節目となる第50回大会を迎えました。

コンクールは厳格な審査を経て進行します。まず予選が実施され、その後の準決勝、そして最終段階である決勝へと進むことで、出場者の順位が決定されます。賞金も授与され、例えば2006年の第1位には25,000ユーロが贈られています。

順位賞の他に、いくつかの特別な賞が設けられています。将来有望な最も若い決勝進出者には「エンリコ・コスタ賞」が、ヴァイオリン独奏のための現代作品の優れた演奏には「カルロ・フェリーチェ劇場友の会賞」が、そして優勝者には「マリオ・ルミネッリ賞」が贈られます。また、パガニーニ自身の作品であるカプリチョの特に優れた演奏に対しては、「レナート・デ・バルビエーリ賞」が授与されます。

これまでの受賞者の中には、クラシック音楽界で国際的に活躍する著名なヴァイオリニストが名を連ねています。例えば、ジェラール・プーレ、サルヴァトーレ・アッカルド、ギドン・クレーメル、レオニダス・カヴァコスといった名手たちが、このコンクールの頂点に立っています。日本からも庄司紗矢香氏が優勝を果たすなど、多くの才能あるヴァイオリニストが入賞を果たし、そのキャリアの重要な一歩としています。

主な開催年と入賞者

以下に、1954年の創設から2018年までの主な開催回における入賞者、特に第1位と日本人の入賞者を中心にリストアップします。

1954年（第1回）: 入賞者なし。
1955年（第2回）: 第1位なし。
1956年（第3回）: 第1位ジェルジ・パウク（ハンガリー）、ジェラール・プーレ（フランス）。
1957年（第4回）: 第1位なし。第2位サルヴァトーレ・アッカルド（イタリア）、ピエール・ドゥーカン（フランス）。
1958年（第5回）: 第1位サルヴァトーレ・アッカルド（イタリア）。
1959年（第6回）: 第1位スチュアート・カナン（アメリカ）。
1960年（第7回）: 第1位なし。
1961年（第8回）: 第1位エミル・カミラロフ（ブルガリア）。
1962年（第9回）: 第1位マリボン・レ・ディゼス（フランス）。第2位広瀬悦子（日本）。
1963年（第10回）: 第1位オレグ・クリサ（ソ連）。第3位石井志都子（日本）。
1964年（第11回）: 第1位ジャン＝ジャック・カントロフ（フランス）。第2位ピエール・アモイヤル（フランス）、久保陽子（日本）。第4位徳江尚子（日本）、宗倫匡（日本）。
1965年（第12回）: 第1位ヴィクトル・ピカイゼン（ソ連）。第4位久保陽子（日本）。
1966年（第13回）: 第1位なし。第3位篠崎功子（日本）。第5位奥村喜音子（日本）。
1967年（第14回）: 第1位グリゴリー・ジスリン（ソ連）。
1968年（第15回）: 第1位ミリアム・フリート（イスラエル）。第2位藤原浜雄（日本）。第5位柳田昌子（日本）。
1969年（第16回）: 第1位ギドン・クレーメル（ソ連）。
1970年（第17回）: 第1位なし。第6位綿谷恵子（日本）。
1971年（第18回）: 第1位モイセイ・セクレル（ソ連）。
1972年（第19回）: 第1位ユージン・フォドア（アメリカ）。第2位佐藤陽子（日本）。
1973年（第20回）: 第1位アレクサンドル・クラマロフ（ソ連）。第4位イ・スンイル（韓国）。第5位ジュリアーノ・カルミニョーラ（イタリア）、ステファン・スタラノフスキー（ポーランド）。
1974年（第21回）: 第1位なし。
1975年（第22回）: 第1位ユーリー・コルチンスキー（ソ連）。
1976年（第23回）: 第1位レヌーツァ・チュレイ（ルーマニア）。第4位高橋筆子（日本）。
1977年（第24回）: 第1位イリヤ・グルーベルト（ソ連）。第2位中島幸子（日本）。第3位毛利友美（日本）。
1978年（第25回）: 第1位ウジェーヌ・サルブ（ルーマニア）。第4位清水高師（日本）。
1979年（第26回）: 第1位フローリン・ポール（ルーマニア）。第2位長沼由里子（日本）。第4位千住真理子（日本）。
1980年（第27回）: 第1位なし。第5位石井光子（日本）。
1981年（第28回）: 第1位イリヤ・カーラー（ソ連）。第4位永田邦子（日本）。
1982年（第29回）: 第1位なし。第3位沼田園子（日本）。第4位鈴木裕子（日本）。
1983年（第30回）: 第1位なし。第3位ヤン・ソンシク（韓国）。第4位渡辺玲子（日本）。
1984年（第31回）: 第1位なし。第3位渡辺玲子（日本）。第4位川口ヱリサ（日本）。
1985年（第32回）: 第1位ドミトリー・ベルリンスキー（ソ連）。
1986年（第33回）: 第1位なし。第2位渡辺玲子（日本）。第5位上田明子（日本）。
1987年（第34回）: 第1位呂思清（中国）。
1988年（第35回）: 第1位レオニダス・カヴァコス（ギリシャ）。第2位諏訪内晶子（日本）。第3位二村英仁（日本）。
1989年（第36回）: 第1位なし。第5位川田知子（日本）。第6位二村英仁（日本）。
1990年（第37回）: 第1位ナタリア・プリシチェペンコ（ソ連）。
1991年（第38回）: 第1位マッシモ・クアルタ（イタリア）。第5位牧田由美（日本）。
1992年（第39回）: 第1位ユリア・クラスコ（ロシア）。第2位神谷美千子（日本）。第3位二村英仁（日本）。
1993年（第40回）: 第1位イザベル・ファウスト（ドイツ）。第3位江口有香（日本）。第5位二村英仁（日本）。レナート・デ・バルビエーリ記念賞レイチェル・バートン・パイン（アメリカ）。
1994年（第41回）: 第1位黄濱（中国）。第2位二村英仁（日本）。カルロ・フェリーチェ劇場友の会賞砂原亜紀（日本）ゴルダン・ニコリッチ（スロヴェニア）。
1995年（第42回）: 第1位なし。
1996年（第43回）: 第1位キム・スビン（アメリカ）。
1997年（第44回）: 第1位ジョヴァンニ・アンジェレーリ（イタリア）。第4位米元響子（日本）。第5位上里はな子（日本）。第6位永田真希（日本）。エンリコ・コスタ博士記念賞米元響子。
1998年（第45回）: 第1位イリヤ・グリンゴルツ（ロシア）。第3位山崎貴子（日本）。レナート・デ・バルビエーリ記念賞島田真千子。
1999年（第46回）: 第1位庄司紗矢香（日本）。第3位小野明子（日本）。エンリコ・コスタ博士記念賞庄司紗矢香。マリオ・ルミネッリ記念賞庄司紗矢香。
2000年（第47回）: 第1位ナタリア・ロメイコ（ニュージーランド／ロシア）。第2位日下紗矢子（日本）。第3位阿藤果林（日本）。レナート・デ・バルビエーリ記念賞日下紗矢子。マリオ・ルミネッリ記念賞ナタリア・ロメイコ。
2001年（第48回）: 第1位マリウシュ・パティラ（ポーランド）。
2002年（第49回）: 第1位黄蒙拉（中国）。第6位宇根京子（日本）。
2004年（第50回）: 第1位なし。第2位有希・マヌエラ・ヤンケ（ドイツ／日本）。第3位シン・ヒョンス（韓国）。レナート・デ・バルビエーリ記念賞、マリオ・ルミネッリ記念賞、カルロ・フェリーチェ劇場友の会賞有希・マヌエラ・ヤンケ。
2006年（第51回）: 第1位寧峰（中国）。第3位正戸里佳（日本）。
2008年（第52回）: 第1位なし。
2010年（第53回）: 第1位なし。第2位キム・ダミ（韓国）。第3位シュテファン・タララ（ドイツ）。ファイナリスト曾宇謙（台湾）、フョードル・ルディン（フランス）。エンリコ・コスタ博士記念賞曾宇謙。
2015年（第54回）: 第1位ヤン・インモ（韓国）。第2位毛利文香（日本）。現代曲特別賞福田廉之介（日本）。
* 2018年（第55回）: 第1位ケヴィン・チュー（アメリカ）。第2位フョードル・ルディン（フランス）。現代曲特別賞福田廉之介（日本）。

パガニーニ国際コンクールは、ヴァイオリニストの才能を世界に示し、その後のキャリアを切り開くための重要なプラットフォームであり続けています。

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