パスネット

パスネットの全貌

概要

パスネット（Passnet）は、関東地方の鉄道（私鉄・地下鉄）22社局で利用される磁気カードを用いたストアードフェアシステムの総称です。2000年10月14日に運用が開始され、主に南関東地域で利用されました。パスネットはプリペイド方式の乗車券であり、乗車時に自動改札機にカードを挿入することで運賃が精算されます。

利用の開始と終了

最初の導入は営団地下鉄、小田急電鉄、京王電鉄、京成電鉄など17社局が参加したことから始まりました。最後の利用は2015年の3月31日までにすべて終了しました。このシステムは、カードの磁気情報を読み取ることで自動的に運賃を減額する仕組みでしたが、一部のケースでは特別な運賃計算が行われることもありました。

使用方法

パスネットを利用するには、自動改札機にカードを投入することで入場します。このとき、初乗り運賃が引き落とされ、出場する際には目的地までの運賃差が精算されていました。例えば、乗車駅と降車駅の間に他の駅があった場合、最安所要時間に基づいた運賃計算が行われました。残高が不足する場合、改札を通過できないことがあります。逆に、使用するカードが複数ある場合は、一緒に挿入することで不足分を補うことができました。

また、パスネットは、他のカードと併用することはできず、特にSuicaやPASMOといった別のキャッシュレスシステムとは直接的な相互使用が制限されていました。顧客は、残高不足の場合に自動券売機での回数券購入や、現金での精算も選択可能でしたが、これにはルールがありました。

カード名称

「パスネット」はシステムの名称として使用されていますが、各カードには独自の名称を持たせるガイドラインも存在しました。そのため、一部の発行社では「SFメトロカード」や「Tカード」など、個別の名称が付与されています。ただし、多くの事業者で「パスネットカード」と総称されることが一般的でした。

歴史

パスネットは1996年に始まった東京都交通局のTカードと、帝都高速度交通営団のSFメトロカードの共通化を起点に発展を遂げました。1999年には一般公募を通じて名称が決まり、2000年には本格的な運用が開始されました。その後、2008年1月に販売を終了し、各事業者で自動改札での取り扱いも2009年に終了しました。

もともとパスネットは異なる事業者間の共通化を目指したものであり、将来的にはJR東日本のイオカードとの共通規格化を図る意図がありましたが、最終的にはそれが実現することはありませんでした。長い間利用されてきたパスネットは、徐々にICカードによる新しいシステム（例：PASMO）に移行することとなり、最終的にはすべての取扱いを2018年に終了しています。

サービスの縮小と終了

2007年からはPASMOが導入されることで、パスネットの取り扱いは段階的に減少していきました。乗車用のカードの販売終了や、自動販売機からの撤去が進み、実際の利用も限られたものとなりました。最終的には、全ての取り扱いが終了したことで、約15年間にわたる歴史を持つサービスは幕を閉じました。

導入事業者

パスネットは、様々な鉄道会社が参加していたことから、多岐にわたるエリアで利用されました。導入当時の主要な運営会社には営団地下鉄、小田急電鉄、京王電鉄などが名を連ね、各社間での乗り換えも可能でした。

最終的にパスネットは、従来の磁気カード利用の前進と、ICカードの普及を促進する要因にもなりました。

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