パック・イン・ビデオ

株式会社パック・イン・ビデオの歴史

株式会社パック・イン・ビデオは、日本における歴史あるビデオおよびゲーム製作会社でした。1970年に日本ビクター（現：JVCケンウッド）や東京放送（現：TBSホールディングス）などの共同出資で設立され、ビデオソフトの制作・販売を主力事業として展開しました。設立当初は、家庭用ビデオレコーダーの普及が進む前の時代であったため、専門的な顧客層へのサービスが中心でした。

当時のビデオレコーダーは高価であり、一般家庭に広く普及することは難しい状況でした。しかし、ビデオソフトの制作は主に教育用や業務用に限られ、一部の富裕層やマニア層だけが所有しているような状況でした。そのため、同時に洋画の上映権を取得し、映画配給事業を開始しました。この事業は、後にパック・イン・ビデオの主力事業となり、映像制作の基盤を築きました。

1980年代に入ると、家庭用ゲーム機が登場し、パック・イン・ビデオはファミリーコンピュータなどのゲームソフトの開発・販売にも進出しました。この新たな市場への参入は、企業にとって挑戦的であり、成功を収めるための鍵となりました。しかし、1994年にはビデオ制作・販売事業から撤退し、ゲームソフト事業にシフトしました。その結果、パック・イン・ビデオは日本ビクターの完全子会社となり、ビデオソフト販売の権利はTBSなどの制作会社に戻されました。

1996年には、ビクターエンタテインメントのインタラクティブ事業部を統合し、社名をビクターインタラクティブソフトウェアに変更しました。2003年にはマーベラスエンターテイメントに買収され、マーベラスインタラクティブとして新たなスタートを切りましたが、2007年にはマーベラスエンターテイメントに吸収合併され、現在のマーベラスCSコンテンツ事業部へと移行しました。

また、記憶に残る作品の制作にも力を注ぎ、多岐にわたるジャンルのビデオやゲームソフトをリリースしました。アニメーションでは『独身アパートどくだみ荘』や『妖怪人間ベム』などの人気作品があり、映画では『グランド・ツアー』や『幽幻道士シリーズ』などを制作しました。さらに、音楽関連の作品も多数手がけ、KING CRIMSONの『LIVE IN JAPAN』などが知られています。

最後に、TBSテレビは2023年に「TBS GAMES」というブランド名でコンピュータゲーム市場に新たに参入するという発表を行い、旧パック・イン・ビデオの流れを汲む新しい試みが期待されています。企業が消滅しても、その影響力と遺産は日本のエンターテインメント業界にしっかりと根付いているのです。

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