パッセージ (カーペンターズのアルバム)

アルバム『パッセージ』について

1977年にリリースされた『パッセージ』（Passage）は、カーペンターズにとって8作目のスタジオアルバムです。この作品は、これまでのカーペンターズの音楽スタイルを踏襲しつつも、新たな試みを取り入れたユニークなアルバムとなっています。特に、実験的な音作りと外部ミュージシャンの参加によって、音楽的な広がりを見せています。

制作の背景

当初、アルバムの制作にあたって外部のプロデューサーを迎えることが計画されていましたが、最終的にはリチャード・カーペンター自らがプロデュースを担当しました。しかし、リチャードが作曲したオリジナル曲は収録されていない点がこのアルバムの特異性です。代わりに、彼らは様々なアーティストの楽曲をカバーするスタイルを取っています。

カバー曲と参加ミュージシャン

本作には、ミュージカル『エヴィータ』の「月影のバルコニー〜泣かないでアージェンティーナ」や、カナダのバンドであるクラトゥの「星空に愛を (コーリング・オキュパンツ)」など、他のアーティストの楽曲が含まれています。また、リーダーのリチャード・カーペンターやボーカルのカレン・カーペンターの参加に加え、ロサンゼルス・フィルハーモニックがオーケストラとして参加している楽曲もありますが、契約の関係でクレジットでは「Overbudget Philharmonic」と表記されています。

さらに、セカンド・ラインのリズムを取り入れた「恋の強がり」には、カーペンターズの数々の名曲を手掛けたレオン・ラッセルがゲストとして参加しています。これにより、アルバム全体に多様性が加わり、聴く者を引き込む作品となっています。

シングルとその影響

アルバムからは、「ふたりのラヴ・ソング」「星空に愛を (コーリング・オキュパンツ)」「スウィート・スマイル」の3曲がシングルとしてリリースされ、それぞれ全米のチャートでも一定の成功を収めました。その後、アン・マレーが「想い出にさよなら」をカバーし、人気を博しました。この楽曲はさらに全米チャートで12位に達するなど、アルバムの影響を示しています。また、同時期に日本のアイドルグループ、キャンディーズも「ふたりのラヴ・ソング」をカバーし、多くのファンに支持されています。

収録曲一覧

以下は本作に収録されている主なトラックです。

1. 一人にさせて - "B'wana She No Home" (Michael Franks) - 5:29
2. ふたりのラヴ・ソング - "All You Get from Love Is a Love Song" (Steve Eaton) - 3:46
3. 想い出にさよなら - "I Just Fall in Love Again" (Steve Dorff, Larry Herbstritt, Gloria Sklerov, Harry Lloyd) - 4:02
4. 月影のバルコニー〜泣かないでアージェンティーナ - "On the Balcony of the Casa Rosada/Don't Cry for Me Argentina" (Andrew Lloyd Webber, Tim Rice) - 7:57
5. スウィート・スマイル - "Sweet, Sweet Smile" (Juice Newton, Otha Young) - 3:00
6. あの日、あの時 - "Two Sides" (Scott E. Davis) - 3:27
7. 恋の強がり - "Man Smart, Woman Smarter" (Norman Span) - 4:21
8. 星空に愛を - "Calling Occupants Of Interplanetary Craft (The Recognized Anthem Of World Contact Day)" (Klaatoons) - 7:07

このように、『パッセージ』はカーペンターズの音楽的進化を示す作品として、ファンや音楽関係者から高く評価されています。彼らの洗練されたメロディーやアレンジは、今でも多くの人々に愛され続けています。

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