パットン大戦車軍団

映画『パットン大戦車軍団』について

『パットン大戦車軍団』（原題: Patton）は、1970年に公開された映画で、アメリカ軍のジョージ・パットン将軍の人生を基にした物語です。主演を務めたのはジョージ・C・スコットで、彼の演技は高く評価され、アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞しましたが、授賞式が「肉のパレード」と呼んで受賞を辞退するという独自の姿勢を示しました。

制作の背景

パットンの生涯が映画化される企画は、1953年から始まりましたが、家族からの協力を得るのは困難でした。特に、パットンの未亡人ビアトリスが映画制作の手続きの際に心を閉ざしてしまい、映画に対する協力を拒んだためです。このような状況の中、監督のフランクリン・J・シャフナーは、パットンに関する伝記から脚本を制作しました。特に、ラディスラス・ファラーゴの『Patton: Ordeal and Triumph』とオマール・ブラッドレーの『A Soldier's Story』が参考にされました。

ブラッドレーは本作にもアドバイザーとして参加しており、映画の重要な人物として描かれています。映画は北アフリカでのパットンの第2軍団司令官への就任から始まり、シチリア島での戦いや、第7軍司令官としての出来事が中心テーマです。ことに、戦争の後遺症に悩む兵士を殴ったことで解任される事件は、パットンの波乱に富んだ生涯を象徴しています。

映画の内容とスタイル

物語は、パットンがノルマンディー上陸作戦において第3軍司令官として復帰する過程や、その後のバルジの戦いまでを描写しています。オープニングのスピーチは、実際のパットンの演説を元にしており、劇中ではパットンの粗野な言葉が穏やかな表現に置き換えられています。この点は、パットンのキャラクターを強調しつつ、一部の過激な表現を抑えた工夫に見えます。

ロケ地としてはスペインやベルギーが選ばれ、当時のスペイン陸軍が保有する戦車がアメリカ軍やドイツ軍のものとして再現されました。これにより、視覚的なリアルさが作品に深みを与えています。

映画の文化的評価

2003年には、アメリカ国立フィルム登録簿に登録され、文化的に重要な作品として認識されています。また、続編としてジョージ・C・スコットが再びパットン役を演じた『パットン将軍 最後の日々』（原題: The Last Days of Patton）も制作されています。

スタッフと受賞歴

本作のスタッフには、監督のフランクリン・J・シャフナーを始め、脚本を手がけたフランシス・フォード・コッポラとエドマンド・H・ノースも含まれています。音楽はジェリー・ゴールドスミスが担当し、撮影はフレッド・コーネカンプが行いました。これらの才能が集まって、一つの偉大な映画作品が生まれました。

『パットン大戦車軍団』は、単なる戦争映画にとどまらず、歴史的な人物の多面的な側面を探る洞察に富んだ作品として、今なお多くの観客に愛されています。

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