パテント・シャフト

パテント・シャフト（Patent Shaft）

パテント・シャフトは、1840年にイギリスのウェンズベリーで設立された企業である。もともとは「パテント・シャフト・アンド・アクスルトゥリー」という名称で、以来185年間もの間、重工業の分野で重要な役割を果たしてきた。特に、19世紀中盤に進行した産業革命の流れの中で、地元の雇用を生み出し、地域経済の発展に貢献した。ウェンズベリーは、その立地からブラック・カントリー地区に位置し、当時は多数の重工業企業が集まる地域であった。これによって、周辺地域には工場から吹き出る黒煙が立ち込め、「黒郷」と名付けられるようになった。

企業の変遷と閉鎖

しかし、1970年代に入ると、製造業の不況が企業にも影響を及ぼし、パテント・シャフトは厳しい状況に直面する。この時期には、最大規模の工場でも閉鎖の危機が生じており、1980年には会社の事業を閉じる決断を下さざるを得なかった。この結果、数百人もの従業員が職を失い、長い歴史を誇った工場の建物も数年後に取り壊されてしまった。とはいえ、工場の入口にあたるパテント・シャフトの門は今なお存在し、かつての繁栄の名残を留めている。

日本との関わり

イギリスと日本の間には興味深い歴史的なつながりもある。日本の鉄道建設の黎明期において、お雇い外国人のチャールズ・ポーナルがパテント・シャフトの製品を日本に紹介し、とりわけ橋梁が輸入された。この影響により、現在でも日本国内にパテント・シャフト製の橋梁が数多く存在している。

現存する橋梁の例

2016年の時点で、日本にはパテント・シャフトが手掛けた橋梁が22本現存している。以下にそのいくつかを紹介する。

1. 山線鉄橋（北海道千歳市支笏湖温泉） - ダブルワーレントラス形式で、1898年に函館本線が開通した際に架けられ、1923年に移設。
2. 名称不明（秋田県能代市鰄渕亥ノ台） - プレートガーダーで、桧山川に架設。1900年製のパテント・シャフトの銘板がある。
3. 最上川橋梁 - 1887年に初代木曽川橋梁として架設され、1921年に現在の場所に再設置されたダブルワーレントラス。
4. 見沼代用水橋梁（埼玉県行田市） - ポニートラス形式。東海道本線全通時に設置され、現在では歩行者用として利用されている。
5. 揖斐川橋（岐阜県大垣市・安八町） - 東海道本線全通時に架設されたダブルワーレントラスで、歩行者用として現存。
6. 木曽川橋梁（北恵那鉄道線） - ダブルワーレントラス。現在は使用されていない。

これらの橋は、パテント・シャフトの功績を物語る重要な証として、日本にしっかりと根付いている。産業革命の中で生まれた技術は、今もなお私たちの生活の中で活躍し続けているのだ。

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