パディ・ロウ

パディ・ロウ（Paddy Lowe）

パディ・ロウは1962年4月8日にイギリスで生まれた自動車技術者および電子技術者で、モータースポーツ界での長いキャリアを持っています。特にF1チームでの役職を多数歴任し、技術面での大きな貢献が評価されています。近年では、ゼロ・ペトロリウム社の創業者としてカーボンニュートラル燃料の開発に着手しています。

経歴

ロウは1976年から1980年までセブンオークス校に通い、その後ケンブリッジ大学で工学を専攻し、1984年に修士号を取得しました。在学中には、トニー・パーネル氏やハンティンドンのローラの技術者と共に、風洞計装やレースカー用のデータロガーシステムの開発に貢献しました。

1987年にはウィリアムズチームに加入し、電子回路設計部門のチーフとなり、アクティブサスペンションの開発を担当しました。1993年からはマクラーレンに移り、研究開発部門を8年間にわたり指揮、その後システム開発部門のチーフエンジニアを務めました。特にMP4-20の性能向上に向けた研究開発は重要でした。2005年にはエンジニアリングディレクターに就任し、2011年にテクニカルディレクターとなり、チームを率いる立場に立ちました。

2013年2月、ロウはメルセデスチームへの移籍を発表しました。移籍は2014年に予定されていましたが、両チームの協議により、2013年6月からメルセデスのエグゼクティブディレクターとして技術部門を指導しました。この期間中、メルセデスはF1で3連覇を達成し、ロウの技術的リーダーシップが大いに寄与したと言われています。しかし、2017年に契約満了に伴いメルセデスを離れ、古巣のウィリアムズに復帰。その際にチーフテクニカルオフィサーに就任しました。

しかし、2018年に導入したFW41に重大な空力問題が発覚し、同年はコンストラクターズランキング最下位に沈む結果となりました。翌2019年もFW42の完成が遅れ、シーズン開始直前にロウは休職となり、後に取締役会から退くことになりました。

モータースポーツ離脱以降

F1チームから離れた後の2020年、ロウは合成燃料企業「ゼロ・ペトロリウム社」を共同設立しました。CEOとして、カーボンニュートラルな燃料の開発に注力し、持続可能なエネルギーの未来を切り開くための技術革新を追求しています。彼の業績は、単なるモータースポーツの枠を超えて、環境問題への取り組みにも広がっています。これにより、パディ・ロウは自動車技術の先駆者としての地位を確立し続けています。

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