パナイ (砲艦)

パナイ（USS Panay）

パナイ（USS Panay, PR-5）はアメリカ海軍に所属する河川砲艦で、その名前はフィリピンのパナイ島に由来しています。この艦は、1937年に日本軍によって沈められるという悲劇的な運命に見舞われました。

艦の歴史と建造

パナイは中華民国の上海にある江南造船所で建造され、1927年11月10日に進水、1928年9月10日に艦長ジェームズ・マッキー・ルイス少佐の指揮のもと、正式に就役を果たしました。パナイは長江のアジア艦隊に配属され、当時の中国が中央集権国家へと発展していく過程で、アメリカ人の安全と財産を守る任務を担っていました。

任務と活動内容

1920年代から1930年代にかけて、パナイは長江の哨戒任務に従事し、しばしば敵の攻撃や盗賊の脅威にさらされながらも、自らの任務に邁進していました。アメリカの商船に対する護衛任務において、パナイの乗員たちは長江を航行する船舶の保護を行い、その存在感は非常に大きなものでした。当時の艦長であったR・A・ダイアー海軍少佐は、以下のように報告していました。

「砲艦と商船への発砲は日常的となっており、長江を横断する船は砲撃されるのを予想していました。しかし、幸運にも中国兵の狙撃手は技量が劣っていたため、艦は一人の犠牲者も出さずに済みました。」

日本軍の攻撃と沈没

1937年に日本軍が中国南部に進出すると、アメリカの砲艦は南京における大使館員の避難を支援することになりました。パナイはこの任務を遂行するため、ステーション艦として指定され、できる限り多くのアメリカ人を保護する役割を果たしました。最後の避難者が乗艦したのは12月11日のことで、フィリピンへの避難を果たすために、パナイと他の3隻のアメリカ籍タンカーは長江を上流に向けて出航しました。この際、日本海軍の第三艦隊に情報が伝えられていたものの、位置確認に手間取っていたため、現地の航空部隊には通報されませんでした。

12月12日、攻撃命令を受けた常州飛行場から発進した日本の航空部隊によって、パナイは標的として攻撃を受けました。この攻撃は13時27分に始まり、水平爆撃と急降下爆撃、さらには機銃掃射が行われました。結果として、午後3時54分にパナイは沈没し、3名が死亡し、43名の水兵および5名の民間人が負傷しました。

反響と影響

この攻撃に対するアメリカの正式な抗議は直ちに提出されましたが、日本政府は故意ではなかったと主張しました。それでも、1938年4月22日には賠償金の支払いが行われ、この事件はようやく公式に解決を見ました。パナイ号の沈没は当時の欧米メディアに大きく取り上げられ、イギリス艦レディバードへの誤射事件と共に報道されたため、翌日の南京陥落に関する報道は相対的に少ないものとなりました。

当時の駐米大使であった斎藤博は日本からの訓令を待たぬまま謝罪の意思を示し、反日感情の高まりを抑えようと努力しましたが、それでも日米関係は一層緊張する結果となりました。

まとめ

パナイは海軍の歴史の中で重要な役割を果たし、また沈没事件を通じて国際的な緊張を顕在化させる一因となりました。この事件は、当時のアメリカと日本の関係性、さらに日中戦争における国際的な影響を再考させるものとなっています。今でもパナイ号事件は、海軍の歴史を学ぶ上で欠かせない一幕として記憶されています。

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